被告人は無罪。
N証言は信用性なし。現金授受を裏付ける第三者の目撃証言も客観証拠もない。
名古屋地裁刑事第6部鵜飼裁判長はN証言の信用性について詳細に指摘。判決朗読は午後2時から4時45分に及んだ。
3月6日追記】
ブログ主が間接的に聞き取った内容は以下の通り。
裁判長は最初に主文を読み上げた後、判断した理由を説明。
本件では現金授受の事実を基礎づけるのはN証言のみ。それ以外の第三者の証言や客観的な証拠は出ていない。
そこで以下、N証言の信用性について検討する。
N証言は現金授受の経緯、金額ついて具体的かつ詳細であるが、現金受け渡しの核心的部分について臨場感に欠け、合理的な疑いがある。
賄賂の授受という非日常的な出来事であるのに、Nの捜査段階において当初、山家住吉店の2回目の授受のみ供述しており、ガストの1回目の授受の方を忘れていたというのは疑問がある。
1回目のガストの授受について、同席者Tがドリンクバーに3人の飲み物を取りに席を立ったと答えているのに、そのドリンクの種類について覚えていないのは不自然である。
同席者の存在について、変遷が見られる。当初2人で会ったとしていたが、3人であったと供述を変え、その同席者に授受の現場を見られないように意識していたと答えているにもかかわらず、3月の取り調べ中ではよく覚えていなかったというのは不自然である。
検察官はメールや銀行口座の記録がNの供述を裏付ける客観的な証拠と主張するが、これらは関連性がなく、補強証拠ともならない。
メールの文面は2回とも授受の前後のやりとりはほぼ同じであり、多様に解釈できるもので、現金の受け渡しの趣旨を証明するものとはならない。
Nは公判前に検察官と多数回打ち合わせしており、N自身の記憶に基づかずに、証言した疑いがある。
弁護人は検察官とNとのヤミ司法取引があったと主張するが、闇取引があったと断定することはできない。
しかし、多額の詐欺事件で罪に問われており、自己の量刑に関心のあるNとしては、捜査機関の関心を自己の詐欺事件以外に向けたり、自己の量刑を軽減しようとして、捜査機関に迎合して虚偽の犯罪事実を供述する可能性はある。
以上の通り、Nの供述は信用性がなく、犯罪の証明がないことに尽きるから、被告人に無罪を宣告する。
検察官の控訴期限は3月19日。
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