2014年10月19日日曜日

10月16日 第5回公判 証人尋問

第5回公判 証人尋問

1人目証人H・T入廷。

早川検事「検事の早川より質問します。Nさんのことは知ってますか?」
H・T「はい。」
早川検事「藤井さんと面識は?」
H・T「ありません。」
早川検事「あなたとNさんはどんな関係ですか?」
H・T「友人です。14年前、僕の経営していた飲食店に客としてやって来て知り合いました。」

早川検事「平成20年にNさんから頼み事をされましたか?」
H・T「はい。Nさんが産婦人科の事務長とコンサルタントをやっていた時に「経理で粗相した。2000万円貸して欲しい。」と頼まれました。」
早川検事「頼まれて、あなたはどうしましたか?」
H・T「金額が大きいので、H・Yさんを紹介しました。用立ててもらおうと。」
早川検事「あなたは、NさんがH・Yさんからお金を借りたことを確かめられましたか?」
H・T「はい。NさんからH・Yさんに借りたと聞きました。」

早川検事「藤井さんのことをNさんから聞いたのはいつですか?」
H・T「市長選挙の2か月前だったと思います。」
早川検事「どんな風に話してましたか?」
H・T「Nさんが「僕の友人で、いま応援してる。市長に当選したら優遇してもらえる。」と話していました。」
早川検事「それはどういう意味だと思いましたか?」
H・T「美濃加茂市の小中学校に水源の濾過装置の設置で優遇してくれるという意味だと思ってました。」

早川検事「あなたと水源はどういう関係がありましたか?」
H・T「僕の会社に太陽光パネルの設置工事の職人を派遣して欲しいと頼まれました。」
早川検事「以前に、職人を派遣したことはありますか?」
H・T「あります。親会社のP社に派遣したことがあります。」

早川検事「水源の浄水プラントが美濃加茂市に設置されたことは知っていましたか?」
H・T「はい。水源のパンフレットに書かれていましたし、N本人からも聞きました。」
早川検事「現場を見ましたか?」
H・T「はい。去年の盆過ぎ、Nさんと一緒にN中のプールに設置されてるのを確認に行きました。この時、浄水プラントの濾過器部分はすでに設置されていました。僕は発電部分に設置する太陽光パネルの確認に行きました。」
早川検事「その時、何か会話しましたか?」
H・T「はい。僕がNさんに「よくこんな所につけれたね。」と。Nさんは「接待したし、食事にも行った。渡すもん渡したしな。」と言っていました。」
早川検事「誰に何を渡したかは言っていましたか?」
H・T「それは言ってませんでした。」

早川検事「あなたはNさんの言葉を何のことだと思いましたか?」
H・T「選挙前の話なので、藤井さんに現金を渡すことだと思いました。」
早川検事「現金はいくらくらいのことと思いましたか?」
H・T「何百万円くらいかと。普通の業者にはこんな小中学校のプールに設置できないから、それくらい渡してると思いました。」

早川検事「あとで渡したことをNさんに確認しましたか?」
H・T「しました。Nさんが現場で中学校の鍵を取って出てきた時、「30万円くらい渡した。」と言っていました。」
早川検事「それを聞いてどう思いましたか?」
H・T「少ないな、と思いました。」

早川検事「あなたは浄水プラントの設置現場の写真をスマートホンで撮りましたか?」
H・T「はい。」
早川検事「甲86号証を示します。」
(モニタに拡大写真3枚。太陽光パネルの写真1枚。プールサイドに設置済みの浄水プラントと図面を書いたホワイトボードのアングルの違う写真2枚。)

早川検事「写真はいつ撮ったものですか?」
H・T「伊藤検事には8月22日と答えました。」
早川検事「プロパティは平成25年8月22日となっていますが、自分でそれを確認して、取り調べに日時を答えたのですか?」
H・T「いいえ。プロパティのことを知らなかったので、この日に撮ったことを覚えていて、取り調べで話しました。自分から刑事さんや検事さんにスマートホンの写真を見せました。」

郷原弁護士「太陽光パネルの職人の派遣とはどういうものですか?」
H・T「請負です。パネルの設置や配線の工事をします。」
郷原弁護士「取引相手は?」
H・T「東芝やヤマダ電機です。」
郷原弁護士「設置工事は具体的にはどのように?」
H・T「親会社のP社と一緒にやります。僕の会社でやらない。親会社と一緒に手伝うという感じです。」
郷原弁護士「親会社にも水源のプラントの話はしていますか?」
H・T「しました。去年の8月の盆前、Nさんに相見積もりをとって見せました。親会社のP社の方がK社より150万円くらい安かったので、うちで工事することになりました。」
郷原弁護士「浄水プラントの濾過器部分と発電機部分を合わせて600万円ですか?P社は濾過器部分を担当してないのでは?」
H・T「いえ。全部で450万円だとNさんが言っていました。」

郷原弁護士「Nさんが言ってた「接待」とはどんな意味ですか?」
H・T「食事とか夜のお店とかでは。」
郷原弁護士「夜のお店とは?」
H・T「キャバクラとかじゃないですかね。僕は知りませんけど。」

郷原弁護士「美濃加茂市に浄水プラントが設置されることが決まったのを知ったのはいつですか?」
H・T「定かでないです。Nさんのパンフレットに書いてあったので知りました。」

郷原弁護士「あなたとNさんはどれくらい親しい友人でしたか?」
H・T「親しいと言えば親しい友人です。一緒に飲みに行く関係です。」
郷原弁護士「Nさんが逮捕されたことは知ってますか?」
H・T「知っています。銀行の詐欺で逮捕されたと。」
郷原弁護士「美濃加茂市の公印を偽造していたことも知っていましたか?」
H・T「ニュースで知りました。」

郷原弁護士「文書偽造をやりながら、一方で水源のプラントが順調に進んでいるように見せかけて、あなたに太陽光パネルの設置工事を頼んだわけですが、Nさんはあなたを騙していたとは思いませんか?」
H・T「僕も騙された。進行してると思ってた。」
郷原弁護士「文書偽造をやっていたとは?」
H・T「まさか思っていませんでした。」
郷原弁護士「Nさんは平気でうそをつく人だと思いますか?」
H・T「阪急ホテルとか竜泉寺の件も直前まで上手くいってるとNさんは言ってた。銀行から融資とれたと聞いた。でも、噓だったから騙されたと思う。」

郷原弁護士「N中の浄水プラントの設置費用はどこが負担したか知っていますか?」
H・T「詳しく分かりません。Nさんかな。」
郷原弁護士「レンタル契約の料金について知っていましたか?水源の利益がどれだけになるか?」
H・T「Nさんから資料もらったけど、どれだけかは記憶にないです。」
郷原弁護士「Nさんから契約の見通しについて詳しく聞きましたか?」
武井検事「異議。詳しくは知らないと答えています。」
H・T「聞きました。今は資料ないので内容は詳しく分かりません。」

郷原弁護士「Nさんはあなたにいろいろ噓を言っていた?」
H・T「はい。」
郷原弁護士「美濃加茂市に浄水プラント設置する話も噓だったと思いますか?」
H・T「当時は思わなかった。藤井さんやTさんを接待してたし、普通の民間業者には行政の仕事を受注できないから。」
郷原弁護士「接待したら、必ず受注できるものだと思ってましたか?」
H・T「分かりません。」
郷原弁護士「あなたはNさんを信用してましたか?」
H・T「事業の内容は信用してました。浄水器はいいものだと。」
郷原弁護士「Nさんを人物として信用してましたか?」
H・T「半分半分。くだらない噓はつくけど、ちゃんとしたこと、大きなことでは噓をつきません、僕には。」
郷原弁護士「くだらない噓とは?」
H・T「お金を返す時に、日時をごまかしたりはしません。でも、1万円足りないとかはありました。」

郷原弁護士「病院の「経理で粗相した」とは何のことか知っていましたか?」
H・T「この時は、知りませんでした。警察から横領をやったと聞きました。」
郷原弁護士「なぜNさんに2000万円を貸しましたか?」
H・T「担保と保証人になってくれる人がいたので、2000万円貸しました。」
郷原弁護士「Nさん自身がキャバクラに金使ってたことは知っていましたか?」
H・T「はい。知っていました。」
郷原弁護士「病院の金を使い込みをしていたことは?」
H・T「分かりません。」

郷原弁護士「美濃加茂市に浄水器を設置する話自体が噓だと思いませんでしたか?」
武井検事「異議。重複します。」
関内検事「異議。契約の詳細は知らないので誤導だと思います。」
伊藤検事「異議。今のことか当時の認識か特定されていません。」
郷原弁護士「どれくらいの仕事を受注するなら何百万円いると思いますか?」
H・T「美濃加茂市の発注する工事全体なら見合うと思います。」
郷原弁護士「N中の浄水プラント1件だったらお金を贈るまでもないと思いませんか?」
H・T「Nさんが「ここを始めに、いずれ、徐々に設置ができていく。」と言ってたので、その必要もあったかなと。」
郷原弁護士「Nさんから市当局と話ついていると聞いたりしませんでしたか?」
H・T「市と契約を受注する環境づくりで、接待が必要と思いました。」
郷原弁護士「Nさんから具体的な話がいってると聞きましたか?」
H・T「聞いていません。Nさんが「僕は市長と仲良い。」と言っていました。」

郷原弁護士「あなたはH・Yさんと貸借関係はありますか?」
H・T「7,8年前に正村商会の孫に騙されて、H・Yさんに保証人になってもらいました。その後、H・Yさんに毎月返済していました。」

郷原弁護士「設置現場でNさんと「渡すもん渡した。」という会話をしたことを最初に話したのは誰ですか?」
伊藤検事「異議。誤導です。」
H・T「覚えてないです。」
郷原弁護士「でも、あなたがこの言葉を聞いていなかったら、そもそも証人に呼ばれないのでは?誰に話しましたか?」
H・T「覚えてません。H・Yさんに話したかもしれません。」

郷原弁護士「警察の取り調べにはこの言葉のことは聞かれましたか?」
H・T「聞かれなかったです。検事さんには聞かれました。僕とNさんとの金銭関係を聞かれて、詐欺のことと思っていました。」
郷原弁護士「検察官の最初の質問は何を聞かれましたか?」
H・T「Nさんとの出会いから聞かれました。」
郷原弁護士「「渡すもん渡した。」という言葉はどっちから言いましたか?」
H・T「僕から話しました。」
郷原弁護士「どんな質問で?」
H・T「Nさんと藤井さんとの関係で、その流れで。」
郷原弁護士「検察官から、こんなこと言われなかったか、とは聞かれてない?」
H・T「言われてないです。」

鵜飼裁判長「8月22日に現場を確認しに行ったというのは、具体的には何を確認しに行ったのですか?」
H・T「こういう機械が本当に小学校に設置できるかということと、パンフレットに書かれてるのと現場に設置されてる機械が違ってて、取り付け工事の仕方が変わってくるので。」
鵜飼裁判長「あなたが浄水プラントの設置で担当していたのは?」
H・T「太陽光パネルの設置工事です。太陽光の発電機部分と濾過器の浄水器部分は別個で、職人も別々に派遣していました。」
鵜飼裁判長「病院の件以降、Nさんと貸し借りはありましたか?」
H・T「今年2月逮捕の2日前に貸しました。去年の夏過ぎから急に借金の申し込みがありました。50万円とか。詳しく理由は聞いていません。」
鵜飼裁判長「いま全体でどれくらい貸していますか?」
H・T「いま300万円くらい残ってます。」

証人H・T退廷。休憩。

再開。
2人目証人H・Y入廷。

武井検事「検事の武井より。Nさんのことは知っていますか?」
H・Y「はい。」
武井検事「藤井さんと面識は?」
H・Y「ありません。」
武井検事「Nさんと知り合ったきっかけは?」
H・Y「地元の先輩のH・Tさんの飲食店で働いていた時、お客さんで来ていました。13,14年前です。」

武井検事「Nさんから藤井さんのことで何か頼まれましたか?」
H・Y「藤井さんにお金を渡したいから50万円貸して欲しいと頼まれました。」
武井検事「藤井さんのことを知ったのはいつですか?」
H・Y「平成25年2月下旬から3月上旬です。美濃加茂の市会議員だと。」
武井検事「藤井さんの評判はどうでしたか?」
H・Y「Nさんから積極的に取り組む姿勢の強い議員がいると聞きました。Nさんから美濃加茂市の小中学校に浄水プラントの設置をお願いしていると。」

武井検事「Nさんからお金を貸してと頼まれたことは?」
H・Y「平成25年3月下旬から4月上旬、「藤井さんに恩を売っておきたいから、お金貸して。」と頼まれました。」
武井検事「その依頼はどうしましたか?」
H・Y「その時は「やめておきましょう。」と断りました。」
武井検事「どうして断ったのですか?」
H・Y「名古屋の市民病院の件で300万円貸したのに、失敗したので、やめておこうと。」
武井検事「それはNさんに直接貸したのですか?」
H・Y「いいえ。現金はTさんに渡しました。平成23年11月末のことです。」
武井検事「そのあとは何かありましたか?」
H・Y「その後も何度か貸してくれと頼まれました。その都度、断っていました。」
武井検事「お金を貸すことになった時のやりとりは?」
H・Y「平成25年4月下旬、電話でNさんから50万円貸してと頼まれました。「藤井さんが前市長の後継候補として出る。当選間違いないから、お金を渡して恩を売っておきたい。時間もないので早く。」と、熱意たっぷりに言われました。」
武井検事「それに対してあなたはどう答えましたか?」
H・Y「「お預かりさせて下さい。」と答えました。」
武井検事「それはどういう意味ですか?」
H・Y「お金を用意できるか、いったん預かりさせて欲しいという意味です。」
武井検事「あなたは何を考えていたのですか?」
H・Y「50万円渡すことで、水源のプラントにプラスになればという思いとNさんの熱意が本気なんだと思いました。」
武井検事「他にはないですか?」
H・Y「・・・」
武井検事「その日、50万円を貸す約束をしたのですか?」
H・Y「いいえ。その翌日に貸すと約束しました。Nさんは「ありがとう。助かる。」と。」
武井検事「実際にお金を渡したのは?」
H・Y「当日もしくは翌日です。自宅にあった現金50万円をNさんに直接手渡しました。」
武井検事「藤井さんに渡ったかは聞きましたか?」
H・Y「数日後、Nさんからメールで「ありがとう。渡した。」と連絡がありました。」

郷原弁護士「水源とあなたの立場はどんな関係でしたか?」
H・Y「発起人です。それ以外はないです。」
郷原弁護士「なぜ発起人になったのですか?」
H・Y「事業の説明を受けて魅力的に感じて、資本金を出しました。一時的な約束で。」
郷原弁護士「一時的とは?」
H・Y「資本金の分はあとで返してもらいました。」
郷原弁護士「ということは、見せ金ですか?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「あなたは水源の株主でしたか?」
H・Y「ではありません。」
郷原弁護士「水源の役員になっていましたか?」
H・Y「なっていません。」
郷原弁護士「あなたとNさんの事業の利益との関わりはどの程度でしたか?」
H・Y「Nさんが儲かれば、共通の趣味の自動車とかで事業ができるかなと思っていました。」
郷原弁護士「これをすればあなたに直接利益が行くというものはありませんでしたか?」
H・Y「そういう話はなかったです。」

郷原弁護士「あなたとNさんは貸借関係にありましたが、水源の事業がうまくいくのはあなたにとってそんなに大事なことでしたか?」
H・Y「そうでした。友人でもありますけど、上手くいけばまあ知人としてはうれしいと思っていました。」
郷原弁護士「美濃加茂市の事業が失敗したら、貸した金が回収できないと心配しましたか?」
H・Y「いや、美濃加茂でできなくても、他のところで上手くいけば回収できると思っていました。深くは考えていませんでした。」
郷原弁護士「Nさんの事件が起きた時にあなたも家宅捜索を受けましたね。普段は自宅にどれくらい現金を持っていますか?」
H・Y「300万円から400万円は持っています。」
郷原弁護士「家宅捜索時に押収された現金は?」
H・Y「4000万円です。」
郷原弁護士「どうしてそんなに持っていたのですか?」
H・Y「自宅の購入資金として持っていました。」

郷原弁護士「あなたの経営してるR社の事業内容は?」
H・Y「不動産管理業です。」

郷原弁護士「50万円くらいは自宅にある現金ですぐ貸せるのでは?」
H・Y「はい。ただ、まず協力者を求めて、協力者がいなければ自分のお金を貸すようにしていました。」
郷原弁護士「協力者というのはあなたに代わってお金を出してくれる人のことですか?」
H・Y「はい。」

郷原弁護士「あなたが贈賄の容疑で取り調べを受けたのはいつのことでしたか?」
H・Y「4月,5月くらいです。」
郷原弁護士「最初にNさんに50万円を貸したことを話したのは?」
H・Y「2月です。」
郷原弁護士「その時は、融資詐欺の被疑者としての取り調べですか?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「50万円貸したことを書面に起こしたのはいつですか?」
H・Y「1ヶ月後程度でした。」
郷原弁護士「書面の内容は?」
H・Y「警察にNさんと面識のある政治家の名前をいろいろ聞かれました。僕が金を貸す経緯もいろいろと。それで藤井さんの名前も出ました。」

郷原弁護士「その中で国会議員の話もしたということですか?」
H・Y「いえ。国会議員でなく議員です。減税日本の中村孝道名古屋市議の話もしました。」

郷原弁護士「検察官の取り調べが始まったのはいつですか?」
H・Y「7月頃です。」
郷原弁護士「7月18日に伊藤検事の取り調べを受けた?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「その時は贈賄の被疑者として取り調べを受けたのですか?黙秘権の告知を受けましたか?」
武井検事「異議。被疑者の取り調べとは何を根拠にされているのか?」
郷原弁護士「7月12日付と18日付の被疑者調書がありますが。」
早川検事「その前の7月9日から取り調べをしていますので、誤導だと思います。」
H・Y「詳しくは知りませんが、私の認識では終始、被疑者として取り調べを受けました。」

郷原弁護士「賄賂なのか合法的な政治献金なのかということは訊かれませんでしたか?」
H・Y「深く突っ込んで訊かれなかったです。」
郷原弁護士「あなたが共犯者として逮捕される可能性は?」
H・Y「あったと思います。」
郷原弁護士「政治家にお金を渡すことが違法になるかどうか考えませんでしたか?」
H・Y「不正なお金か、正当なお金かは考えませんでした。」
郷原弁護士「共犯者の責任がどうなるかということは質問しませんでしたか?」
H・Y「聞きませんでした。被疑者としてそういうことを聞くのはふさわしくないと思いましたので。」

郷原弁護士「捜査状況は気になりませんでしたか?」
H・Y「2月のNさん逮捕時から、そういう気持ちはあります。」
郷原弁護士「Nさんの融資詐欺について知っていましたか?」
H・Y「全く知りませんでした。」
郷原弁護士「融資詐欺についてあなたに責任はあると思いましたか?」
H・Y「全然知らなかったので、ニュースで知って驚きました。」

郷原弁護士「あなたは他人に現金を直接渡すのと銀行の口座に振り込むのとどっちが通常でしたか?」
H・Y「基本、現金は直接手渡しでやっていました。直接渡せない時に、口座に振り込んでいました。」
郷原弁護士「Nさんがあなたに借金を返済する時、お金をどこから持ってきたか訊いたりしましたか?」
H・Y「調達方法については聞くことも聞かないこともありました。」

郷原弁護士「Nさんが担保無しで銀行から融資を受けていたことは知っていましたか?」
H・Y「担保がないことは知っていました。受注があって、融資がもらえたと聞きました。」
郷原弁護士「工事の受注は架空ではないと思っていましたか?」
H・Y「もちろん。事業の実体はあると思っていました。」
郷原弁護士「どんな事業をやっていたか分かりますか?」
H・Y「そこまで詳細な報告は受けていません。」

郷原弁護士「Nさんが十六銀行から4000万円の融資を受けたことは知っていますか?」
H・Y「全く記憶にありません。」
郷原弁護士「6月と8月に借入したことは?」
H・Y「当時、聞いているんですけど、今は記憶にないです。」
郷原弁護士「Nさんがあなたに噓を言ってお金を借りたことは?」
H・Y「金額の噓はありました。目的の噓は言っていません。」
郷原弁護士「Nさんの言った目的をあなたの方で確かめることはしていましたか?」
H・Y「確認はしていません。」
郷原弁護士「Nさんはあなたにバレるような噓をつきましたか?」
H・Y「言っていません。」

郷原弁護士「「藤井さんに車を用意しないといけない。」という話が出た経緯は?」
H・Y「50万円を貸したのと同じ時期に、Nさんから市長の車として使うと言われました。僕が「公用車ならセンチュリーかクラウンか。」と聞くと、「いや、そんな立派なものでなくてもいい。」と言っていました。」
郷原弁護士「車種は?」
H・Y「アベンシスです。」
郷原弁護士「結局、どうしたんですか?」
H・Y「最終的にNさんの車をTさんにあげるという話になりました。Tさんが運転する車に藤井さんを乗せると聞きました。Nさんに代わりの車を用意することになりました。」
郷原弁護士「あなたとNさんで車のことでトラブルになったことは?」
H・Y「私とNさんの間ではトラブルになっていません。」

郷原弁護士「水源の資本金5000万円は見せ金だったとお認めになりましたね。見せ金は違法行為ですよね。あなたの責任は?」
H・Y「申し訳ないです。考えてません。」
郷原弁護士「なぜ水源の発起人になろうと考えたのですか?」
H・Y「東北の震災とかで浄水器が役立つことを知って、水源の事業はいけると思っていました。」

郷原弁護士「あなたが今までNさんに貸した金の記録はとっていますか?」
H・Y「全部、記録していません。Nさんと会った時にメモ書き程度と借用書を書くことがあります。」
郷原弁護士「借用書を見れば借金の全体は分かりますか?」
H・Y「すべて借用書はとっていません。他にも口頭でしたのもあります。借用書を見ればどの借金かは分かりますが。」
郷原弁護士「記憶喚起のため、弁45号証を示します。」
(モニタに数字を羅列したメモの拡大画像。)
郷原弁護士「このメモはあなたの自動車から押収されたものですが、この数字はどう読むものか教えて下さい。たとえば、ここの「3580」は?」
H・Y「3580万円のことです。万単位で記入してあります。」
郷原弁護士「この三角の記号は?」
H・Y「それは返済済みのものです。」
郷原弁護士「ここの数字は?」
H・Y「真ん中は日にちです。」
郷原弁護士「7000の下に900(27)とあるのは?」
H・Y「括弧のは利息です。900万円の利息の27万円。内訳ではないです。7000万円と900万円の借金は別個のものです。」
郷原弁護士「金利は決めていましたか?」
H・Y「金利は一定していません。元本と関係なく、金利は貸す時にその都度決めていました。」
郷原弁護士「返済期限は?」
H・Y「たとえば、6月に貸したら10月に利息25万円をつけて返すというふうでした。」
郷原弁護士「借金の合計は書かれていますか?」
H・Y「一番下の数字。1億2千万円です。」
郷原弁護士「このメモはいつ頃書いたものですか?」
H・Y「昨年の9月,10月,11月頃です。」

郷原弁護士「Nさんが「お金を貸してくれなくなった。」と言ってた時期があるんですが?」
H・Y「意図的にそうしたことがあります。僕と直接会わずに、Tくん(下の名前)・・・いや、H・Tさんが間に入って、話を聞いていたことがあります。」

郷原弁護士「いま現在Nさんの借金はいくらありますか?」
H・Y「いま現在、7000万円残っています。」
郷原弁護士「あなたからNさんに貸した理由はどんなものでしたか?」
H・Y「一つ一つは正直、覚えておりません。ただ、事業的なものが大半だったと思います。」
郷原弁護士「借入の理由を確認しましたか?」
H・Y「いえ。しませんでした。」
郷原弁護士「うその理由で借りに来てるというのは分かりませんでしたか?」
H・Y「結果的に分かりませんでした。」
郷原弁護士「水源が黒字で儲かっているとNさんが言っていたのは噓だった?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「融資詐欺や文書偽造をやってたことをNさんはあなたに正直に話していましたか?」
H・Y「正直、複雑な心境です。信じたいけど信じれない部分があります。」

郷原弁護士「50万円は藤井さんに渡ったと思いますか?」
H・Y「正直、渡したと思います。成果があったので。」
郷原弁護士「成果とは具体的には何ですか?」
H・Y「美濃加茂市の小中学校に浄水プラントを取り付ける第一歩になったと思います。」
郷原弁護士「実際に設置した浄水プラントの設置費用についてあなたは知っていましたか?」
H・Y「報道で知りました。美濃加茂市は負担していないと。」
郷原弁護士「それは水源にとって成果といえるものですか?」
H・Y「報道で知ったらそうです。でも、第一歩は大きいと思います。」

郷原弁護士「お金についてNさんはどう説明してましたか?」
H・Y「報道で30万円だと。10万円と20万円を渡したと。」
郷原弁護士「実際は20万円だったが、あなたには50万円と言っていた。Nさんはあなたを騙した?」
H・Y「まあ、結果として噓つかれたと思います。」
郷原弁護士「Nさんが藤井さんに渡さないこともあり得ると思いませんでしたか?」
H・Y「Nさんは渡すのはこの日しかないと言っていました。」
郷原弁護士「会食の機会に渡すと言っていたのですか?」
H・Y「市長選挙の始まる前に渡したいと言っていました。」

郷原弁護士「あなたは美濃加茂市長選挙がいつか知っていましたか?」
H・Y「知りません。」
郷原弁護士「市長選挙は6月2日でしたが、市長選が始まる前とはいつ頃のことを指していますか?」
H・Y「選挙が始まる前と言っていました。」
郷原弁護士「本当にNさんが藤井さんに20万円を渡したと思いますか?」
早川検事「異議。当時の認識か今の認識か特定しなければ誤導だと思います。」
郷原弁護士「今の認識で聞いていますが。」
H・Y「渡ったと思います。」
郷原弁護士「渡して成果があったとNさんから聞いたのですか?」
H・Y「電話でNさんから聞きました。」
郷原弁護士「取り調べでもそのことは言いましたか?」
H・Y「Nさんから「藤井さんに渡せた。ありがとう。」と感謝の電話がありました。」
郷原弁護士「ほかの話題はありましたか?」
早川検事「異議。その電話については、調書に書かれています。」
H・Y「ないと思います。記憶あいまいですけど。」

神谷弁護士「あなたは金融業をやっていますか?」
H・Y「いいえ。」
神谷弁護士「誰かにお金を貸していますか?」
H・Y「はい。Nさんにだけ貸しています。」
神谷弁護士「Nさんはあなたを「窓口」とする借金があると証言していましたが、あなたの他に金主がいるということですか?」
H・Y「金主という言葉は知りませんけど、相談する人はいました。」
神谷弁護士「借用書のある借金は全部あなた自身の資金を貸したものですか?」
H・Y「違います。協力者から預かったものもあります。」
神谷弁護士「協力者は何人いますか?」
H・Y「4,5人います。」
神谷弁護士「Nさんにお金貸す時に協力者の許可が必要でしたか?」
H・Y「もちろん。」

神谷弁護士「返済期限は?」
H・Y「決めません。すぐ返すと口頭でやってました。」
神谷弁護士「金利は?」
H・Y「定めてません。」
神谷弁護士「期限を定めないで貸したということですが、いつもどれくらいで返してもらってましたか?」
H・Y「ちょっと記憶にないです。」
神谷弁護士「F社のKという人物から1800万円を受け取りましたか?」
H・Y「あったかもしれません。」
神谷弁護士「Nさんがイオ信用組合から融資を受けていたことは?」
H・Y「知っていました。」
神谷弁護士「Nさんが融資を受けたすぐ後に、あなたにお金を払ったら、事業資金が底をつくと思いませんでしたか?」
H・Y「いえ、私が先に貸してたので、そうは思いません。」
神谷弁護士「名古屋市の300万円も、実体は事業資金でなく貸金だったのでは?」
伊藤検事「異議。誤導です。」
H・Y「名古屋の病院の件の事業内容は知っていました。結局、失敗しました。」
神谷弁護士「7000万円の借用書は、本当にこの金額の貸し付けが行われたのですか?」
H・Y「存在していました。」
神谷弁護士「この7000万円の金利は?」
H・Y「記憶にないです。」
神谷弁護士「利息制限法を超えるものでしたか?」
H・Y「ちょっと分かりません。」

武井検事「4,5回断ったが、最終的に50万円を貸すことにしたのはなぜですか?」
H・Y「Nさんの熱意が強くて本当に渡したいんだなと思って貸すことにしました。」

郷原弁護士「4,5回断ったのは、Nさんから返ってこないと思っていたからですか?」
関内検事「異議。返ってこないというのは誤導だと思います。」
H・Y「貸した金が無駄に終わるといけないと思っていました。」
郷原弁護士「あなたは水源の役員でも株主でもないから、利害関係は薄いのでは?お金が返ってくれさえすれば水源の事業内容はあまり関係ないのでは?」
H・Y「あくまでも友人として成功して欲しいと思っていました。」
郷原弁護士「すでに1億2千万円貸してたのに、50万円がどうなるか、そんなに気になったのですか?」
H・Y「仮に50万円でもお金を捨てるのは嫌なので、どうするか聞きました。」

伊藤裁判官「あなたが藤井さんに渡す50万円を貸したという話を警察にしたのはいつですか?」
H・Y「3月くらいです。Nさんに50万円貸した理由を説明する中で。」
伊藤裁判官「あなたが融資詐欺のことについて警察と話したのは?」
H・Y「2月です。」
伊藤裁判官「あなたが書いた陳述書はどこに出しましたか?」
H・Y「警察の上申書として出しました。」
伊藤裁判官「あなたを取り調べた警察官は誰か覚えていますか?」
H・Y「はい。4人いました。最初の1人目と2人目に50万円のことを話しました。」

鵜飼裁判長「Nさんに対してあなたが初めてお金を貸したのは?」
H・Y「平成18年から19年頃に2000万円貸しました。」
鵜飼裁判長「貸さなくなった時期はいつですか?」
H・Y「平成25年秋頃です。」
鵜飼裁判長「事件の前、今年に入ってからは貸していましたか?」
H・Y「はい。ただ、理由によっては貸さないこともありました。」
鵜飼裁判長「貸す時はいつも目的を聞いていましたか?」
H・Y「はい。使用用途が気になるので。」
鵜飼裁判長「貸さないのはどういう場合でしたか?」
H・Y「道楽や飲み代に使う時ですね。まあ、飲み代くらいは正直に言えば許しますが。」
鵜飼裁判長「協力者というのはどんな人ですか?」
H・Y「今まで私がお世話になった人です。」
鵜飼裁判長「協力者を求めるとは、他人を仲介して貸すということですか?」
H・Y「はい。目的を聞いて自分では貸せないと判断した時に、協力者にお世話になってました。」
鵜飼裁判長「名古屋市の件の成否は誰から確認しましたか?」
H・Y「Nさんから説明がありました。」

鵜飼裁判長「4月以前にあなたがNさんの依頼を断った時のNさんとのやりとりは?」
H・Y「同じです。「藤井さんにお金渡したい。」と言っていました。」
鵜飼裁判長「「藤井さんにお金を渡す」とはっきり説明したのですか?」
H・Y「はい。「いま藤井さんに浄水プラントを働きかけているから、恩を売りたい。お金を渡したい。」とはっきり言ってました。」
鵜飼裁判長「4月25日にあなたが貸すというやりとりをした時に反対はしましたか?」
H・Y「反対はしました。ただ、Nさんの本当に渡したい気持ちを理解して貸すことにしました。」
鵜飼裁判長「市長選後にNさんから連絡はありましたか?」
H・Y「ありました。電話で「Y(下の名前呼び捨て)、ありがとな。」と連絡がありました。」
鵜飼裁判長「その日時はいつですか?」
H・Y「日にちは覚えていません。」
鵜飼裁判長「他にNさんから「お金を渡したい」と言われたことは?」
H・Y「それ以降はありませんでした。」

証人尋問終了。

傍聴雑感
この日の証人は2人とも贈賄者とされるNの背景事情に関するもので、本題ではありませんでした。この日は抽選なしで入れました。1人目の証人H・Tは普通に太陽光の工事業者っぽい人でした。2人目の証人H・Yは大金の貸主なのにあまり偉そうな感じではなく、言葉を慎重に選んで話している感じでした。この証人も日時や金額をパッと答えるので、ずいぶん理知的な人物と思いました。

この日は検察官の配置が前列と後列が入れ替わっていました。今まで法廷で一切口を開かなかった3人目の早川検事がこの日初めて質問に立ってしゃべっていました。

2014年10月14日火曜日

10月8日 第4回公判 証人尋問

第4回公判 証人尋問

1人目証人TN入廷。

伊藤検事「では、検事の伊藤から質問させていただきます。緊張されていますか?」
証人TN「いいえ。」
伊藤検事「あなたは、山家住吉店の店長でいらっしゃいますね?」
TN「はい。」
伊藤検事「平成25年4月当時はどうでしたか?」
TN「その時は店長代行でした。11年前にパートで働き、6年前に正社員。数年前に店長代行、今年から店長です。」
伊藤検事「Nさんは店に来店しましたか?」
TN「はい。栄の別の店からの紹介で来られました。」
伊藤検事「初めて来店したのは平成25年1月から2月頃でしたか?」
TN「はい。それから7,8回ご来店されました。」
伊藤検事「Nさんの印象は?」
TN「背が高く、笑顔の印象が残っています。好印象を持っていました。」
伊藤検事「接客で何か気をつけていましたか?」
TN「はい。紹介で来られたので、気をつけていました。お席を必ずとることや、ご挨拶をすることに気を配っていました。」
伊藤検事「Nさんは誰か連れて来られましたか?」
TN「はい。Tさんと藤井さんで来られました。」
伊藤検事「当時、Tさんのことは知っていましたか?」
TN「いえ。何度か見えていたので、お顔は拝見していたのですが、お名前は知りませんでした。あとで警察の取り調べを受けた時に知りました。」
伊藤検事「Tさんや藤井さんはよく来られていましたか?」
TN「TさんとNさんのお二人はよくお見えになっていました。藤井さんも市長選挙の時に見えられていました。」
伊藤検事「Tさんは、どういう人物と思いましたか?」
TN「ちょっと、うちに来られるお客様とは客層が違うと思いました。山家はサラリーマンの店でして、Tさんは少し格好が変わっていました。たまにクレームを頂いたり、スリッパのままで出歩いたり、顔は無精ひげで、変わっていると思いました。」
伊藤検事「あなたの山家での仕事は?」
TN「接客全般を担当していました。特にどこの席担当というのではなく、指示を出したり、お席を回って、自分でも料理やドリンクを運んでいました。」
伊藤検事「供述明確化のため、甲105号証の見取り図を示します。」
(モニタに山家住吉店見取り図。)
TN「カウンターのここにドリンク。ここに料理を置いていました。運ぶ時は中央から通路を通って運んでいました。」
伊藤検事「44番席はどこですか?」
TN「ここです。南東の方角です。」
伊藤検事「トイレは?」
TN「入口の近くのここです。」



伊藤検事「ホールの人数は?」
TN「私を入れて8人。運ぶのは4人でした。」

伊藤検事「Tさんが席を外したことはありましたか?」
TN「はい。2,3度ありました。Tさんが出入口から出る時、私が避けたことがありましたので。」
伊藤検事「どちらの方向に避けましたか?」
TN「Tさんの進行方向です。すれ違うと、挨拶とか、話をしないといけないので、避けていました。正直、苦手なタイプであまり話をしたくないと思っていました。」

伊藤検事「お客さんがトイレに行くときは?」
TN「入口の方に行っていました。」
伊藤検事「携帯電話はどこでかけていましたか?」
TN「入口から出て、ビルの階段のところでかけていました。」

伊藤検事「平成25年4月25日、Nさん、Tさん、藤井さんは3人で来ていましたか?」
TN「はい。」
伊藤検事「あなたもその時いましたか?」
TN「はい。」
伊藤検事「藤井さんはこの時、初めて来店しましたか?」
TN「はい。先にNさんとTさんで来られて、後から来られました。」
伊藤検事「どうして、順番が分かりましたか?」
TN「当時、キャンペーン中でして、私からNさんとTさんにセリの一本揚げをおすすめしました。そうしたら、「後からもう1人来るので、あとで注文する。」と言われましたので、いったん戻ってから、2回目の注文を取りに行った覚えがあります。」
伊藤検事「セリの一本揚げは注文しましたか?」
TN「はい。ほかの注文と一緒にされていました。」

伊藤検事「3人の座った位置は?」
TN「藤井さんが上座に座られて、TさんとNさんが反対側に。Tさんは藤井さんと向かい側でした。」
伊藤検事「当日の客の入りは?」
TN「8割くらい埋まっていました。」
伊藤検事「3人には気を配っていました?」
TN「はい。」
伊藤検事「どうして気を配っていましたか?」
TN「Nさんに「今度、藤井さんが市長選挙に出る。僕が全面的にバックアップするので、宜しく。」と藤井さんを紹介されたので、そうした方が来店されることはあまりないので、よく覚えていたのと、席の様子に気を配っていました。」
伊藤検事「誰か席を外したということはありましたか?」
TN「ありました。はっきりとは覚えていませんが、白いお二人が見えたような気がします。お客さんの席との間を通る時に、そんなことがあったように思います。」
伊藤検事「どこから見えましたか?」
TN「固定した位置から止まって見ていません。接客で動いている時にそう見えました。」
伊藤検事「はっきり覚えていますか?」
TN「はっきりとは申し上げられません。」

郷原弁護士「Tさんに良い印象を持っていなかったのは、なぜですか?」
TN「ちょっと普通のお客さんとかけ離れた感じがするというか、言葉は悪いですが、ペテン師とか、詐欺師のような風体をしてると思いました。あと、クレームがありました。居酒屋を経営されてるということで、お酒とかほこりのクレームが何度かありまして、「こんな店はダメだ。」と言われたこともありますので、私は苦手でした。」
郷原弁護士「Tさんの写真を見たのはいつ?」
TN「この事件の後です。警察の方から写真を見せられました。」
郷原弁護士「その前から人相は覚えていましたか?警察から特に人相の悪い写真を見せられたことはないですか?」
TN「覚えていました。以前と印象は同じです。」
郷原弁護士「白い二人が見えたということについて詳しくお聞きしたい。どこで、どんな風に見えましたか?」
TN「どこでというのでなく、接客で動き回っている中で見た記憶があります。」
郷原弁護士「何かこう、具体的なイメージ、映像として覚えていないですか?」
TN「白い服装の人が二人、見たイメージはあります。通る時に必ず見える席にいましたので。」

郷原弁護士「お店の現場検証の時にも確認しましたけど、店内の席の見通しはどうでしょうか。例えば、カウンターのレジの位置から44番のTさんのいた座席は見えますでしょうか?」
TN「レジのところからは44番席は見えません。」
郷原弁護士「あなたは店内でいつもいる定位置はありましたか?」
TN「常によくいる位置はないです。」

郷原弁護士「店のトイレの履き物は?」
TN「ぞうりです。」
郷原弁護士「入口の外の階段のところは、静かでしたか?」
TN「平成26年4月からBGMを流すようになりました。それ以前は静かでした。」
郷原弁護士「当時、Tさんの履き物は?靴?ぞうり?」
TN「ぞうりでした。」
郷原弁護士「平成25年2月にTさんがNさんと二人で来店した時のTさんの履き物は?この時もスリッパ?」
TN「スリッパだったと思います。」
郷原弁護士「その時の服装は?」
TN「カジュアルな格好をされていました。」
郷原弁護士「色は?」
TN「覚えていません。」

神谷弁護士「白い二人が見えた時、二人の顔を確認しましたか?」
TN「確認していません。」
神谷弁護士「Tさんが入口の外にいるのを確認しましたか?」
TN「確認はしていません。」

郷原弁護士「事情聴取のことを伺いたいんですけど、警察の方から、「その日、2人いた。誰と誰だ?」という風な訊き方はされませんでしたか?」
TN「いえ、そういう話はしていません。」
郷原弁護士「警察に「何でも良いから話してくれ。」と頼まれたりしませんでしたか?」
関内検事「異議。誤導です。」
TN「当日のお店のジャーナルやタイムカードに私の記録がないので、最初、警察の方は私がその日出勤していないと思って質問されていたので、この日来てたお客さんが誰かという話はしませんでした。」
郷原弁護士「警察が調書を取る最後の平成26年4月25日に「実は2人いた。知ってるか?」という訊き方をされて、話したということはないですか?」
TN「いえ、取り調べの最後の方に、私の方からこの席に3人座っていたと話したら、警察の方が「なんで知ってる?」と聞き返すので、「私、出勤してました。」と言って、その日、休んでいないことを分かってもらいました。」
郷原弁護士「その日あなたがお店にいない前提で話したものを、いる前提のものとして話を進めたということはないですか?」
伊藤検事「異議。証人が説明していないかのように質問するのは誤導です。」
鵜飼裁判長「意見でなく、答えなかった理由を質問して下さい。」
郷原弁護士「どうしてこの日まで客の人数を話さなかったのですか?」
TN「一般的に警察の事情聴取は受けたくないのと、Tさんのことが苦手なのであまり話したくないと思っていたからです。」

伊藤検事「平成25年4月25日の出勤表にあなたの記録がなかったのはなぜですか?」
TN「その日は豊橋の本社で、決起大会があり、店長代行の私もそれに出席していました。私は大会を午後3時に切り上げて、名古屋に戻ってそのまま店に出勤したので、タイムカードを押していませんでした。」

伊藤裁判官「警察の取り調べで、3人いるという話をしたのは4月25日だけですか?」
TN「はい。」
伊藤裁判官「席の担当というのは決まっていましたか?」
TN「うちでは決まっていないです。」
伊藤裁判官「接客時間中にお客さんの様子はどう確認していましたか?」
TN「おかわりの注文がある時とか、空席の状況を見回って確認します。暇な時はよく分かります。忙しい時は分からないことがあります。」

鵜飼裁判長「あなたに対して警察が事情聴取したのはいつ頃ですか?」
TN「Nさんの事件が起きてからです。今年の春の3月から4月にかけてです。」
鵜飼裁判長「すぐこの事件のことだと分かりましたか?」
TN「いえ、最初、Nさんの事件のことだと思っていました。突然、去年の4月25日の出勤簿見せられて、なんでNさんのことなのに、他の人のこと訊くのかなあ、と思いました。」
鵜飼裁判長「Tさんがいるかいないか訊かれたのは取り調べの最後の回だけですか?」
TN「はい、最後の回の事情聴取だけでした。」
鵜飼裁判長「1年前にこの3人で来られたという記憶はどの程度、鮮明ですか?」
TN「強く印象に残っていました。特に市長選に出られるという話を聞いていたので。
鵜飼裁判長「警察官からの質問の仕方ですが、「4月25日にT、N、藤井」と名指しで訊かれたのか、「4月25日に3人」という訊き方で訊かれたのか、どちらですか?」
TN「「3人」でと訊かれ、「Nさんと一緒に3人で来た。」と答えました。ノートの控えを見て、一緒に来ていた人を思い出し、そう言えば藤井さんも来てたことを思い出しました。」
鵜飼裁判長「Nさんが藤井さん以外と3人で来店することはありましたか?」
TN「ありました。」
鵜飼裁判長「Nさん、Tさん、藤井さんの3人の組み合わせで来たことはずっと?」
TN「覚えていました。」

伊藤検事「この事件の日以降、Nさんと藤井さんが山家住吉店に来ることはありましたか?」
TN「ありました。平成25年11月、藤井さんが先に見えて、市長の名刺を交換したのを覚えています。その後、Nさんが来られて、挨拶しました。」

郷原弁護士「Nさんと藤井さんの2人組で来た時とNさん、藤井さん、Tさんの3人組で来店した時のことは、ちゃんと区別できますか?」
TN「区別できます。2人で来られる時は、44番とは逆の席の41番席に着席されるからです。44番はカウンターから右の方。41番はカウンターから左の方にあります。」
郷原弁護士「44番席かどうやって確認?」
TN「右の方へドリンク取りに行った時に、確認できます。」
郷原弁護士「41番席は?」
TN「取りに行く回数が少ないので、それで分かります。」

伊藤裁判官「平成25年11月に来店した時は、藤井さんとNさんの2人だけでしたか?」
TN「Nさんが予約を入れられていたので、記憶しています。ネットで藤井浩人さんの名前を検索したら、あの市長のことだと分かりました。」


証人TN退廷。休憩。

再開。

2人目証人T入廷。

郷原弁護士「あなたの職業は?」
T「名古屋市議の秘書です。」
郷原弁護士「平成25年4月当時は?」
T「その時は秘書ではありませんでした。」
郷原弁護士「中村孝道市議の秘書はいつから?」
T「去年8月からです。その前は済藤美咲市議の政策審議官でした。」
郷原弁護士「では、調書の記載は間違っている?」
T「はい。正確ではありません。」

郷原弁護士「調書の初めと後で記述が違っていますが、どのように取り調べに答えましたか?」
T「私は違うようには言っていません。一貫して同じことを答えています。」
郷原弁護士「あなたは同じように言ったが、警察官が調書を取る段階で書き方が違っていたと?」
関内検事「異議。署名のない調書を根拠にすべきではありません。」

郷原弁護士「あなたはインターネットの署名サイトで「おれがシロと言うんだからシロだ。」というコメントをしましたか?」
T「はい。」
郷原弁護士「それはなぜですか?」
T「ネット署名のことは検察官にも訊かれました。私自身、何度も警察、検察に呼び出しを受け、不当な捜査と感じるところもあり、公平のため、申し上げることは申し上げておこうと。ただ、私自身も感情がありますので、ネットはガス抜きのつもりでコメントしました。」
郷原弁護士「インターネットの番組に出演する前に事前に検察官に了解を求めましたか?」
T「はい。出てもいいかということを検察官に訊きました。そこに座っておられる伊藤検事に電話で訊きました。」

郷原弁護士「本題ですが、4月2日のガスト、4月25日山家住吉店で同席しておられた。この状況で考えられる途中で席を外す可能性とは?」
T「携帯電話か、トイレか。ガストならドリンクバーに行く可能性もあります。」
郷原弁護士「あなたが3人で食事に行ってる時に、トイレに行く可能性は?」
T「ないと思います。」
郷原弁護士「どうしてそう言えますか?」
T「僕はトイレに行かないタイプです。どうしてそうなのか考えてみて、最近分かったことですが、僕は誰かと会う約束をする時は誰かと会う前に事前にトイレに行く習慣があることに気づきました。また、せっかく時間を作ってくれたのに、中座したら相手に失礼なので、トイレに行きません。」

郷原弁護士「あなたの1日のトイレの回数はどれくらいですか?」
T「1日に2,3回です。」
郷原弁護士「飲み会ではトイレに行きますか?」
T「行きません。友人の間でもよく話題になります。」
郷原弁護士「伊藤検事との取り調べ中はトイレに行ったり、行かせてくれと頼んだことがありましたか?」
T「行きませんでした。頼んだこともありません。」

郷原弁護士「携帯電話をかけに中座したことはありますか?」
T「ありません。藤井君は時間ないので、電話がかかってきても取りません。相手に失礼なのと貴重な時間を使いたいから、携帯で中座はしません。もし、かかってきても、後でかけ直すことにしているので、人と話す時は携帯を取りません。」

郷原弁護士「あなたが他人のドリンクを取りに行くことは?」
T「ありません。」
郷原弁護士「藤井さんとは別の人とも?」
T「ありません。僕は媚びを売る人間ではないので、他人のドリンクを取りに行くことはありませんし、自分のドリンクを他人に取りに行かせることもしません。目上はともかく、ドリンクバー程度で媚びを売るような真似はしません。そもそも、藤井君もNさんも僕が媚びを売るような相手ではありません。」
郷原弁護士「藤井さんとNさんのために取りに行くということは?」
T「絶対にありません。」

郷原弁護士「今まであなたが山家住吉店に行った回数は何回?」
T「5,6回だと思います。」
郷原弁護士「山家住吉店のトイレの場所は知っていますか?」
T「最近、知りました。先月、サンデー毎日の取材を受けた時に、記者と一緒にこの店に行って、女性従業員に場所を訊きました。自分では行ってないので、トイレの中は知りません。」
郷原弁護士「警察の最初の取り調べにはどう答えましたか?」
T「僕はトイレの場所を知らないと答えました。」
郷原弁護士「甲105号証の現場見取り図を示します。」
(モニタに山家住吉店の見取り図。)
郷原弁護士「一般的に居酒屋のトイレはどこにあるものですか?」
T「条件がありまして、一つは混雑をしないところ。二つ目は、水回りの近く。」
郷原弁護士「山家住吉店のトイレの場所は?」
T「サンデー毎日の記者とお店に行く前に見取り図だけを見て当てっこをしたのですが、僕が推測した推測した位置と実際の位置が違っていました。」
郷原弁護士「どう違っていたのですか?」
T「先ほど言った条件。まず、混雑しないということで、入口の近くにはない。もう一つは、水回りの周辺ということで、山家だと洗い場の周辺だと見当をつけました。実際は、入口の近くだったので驚きました。」
郷原弁護士「では、その位置をマルで示してもらえますか?実際のトイレの位置はバツで。」
T「僕が推測したのは奥のここ。実際はここでした。」


郷原弁護士「山家の店長の印象は?」
T「もともと、Nさんが山家に常連で来ていて、僕も何回か一緒に来て、店長と話をした記憶があります。」
郷原弁護士「クレームを入れたことは?」
T「あります。何回か。僕は日本酒にはうるさいタイプでして、ぬる燗で頼んだ酒が「熱い。」というクレームを入れたことがあります。ほとんどの居酒屋は、40度をぬる燗としているところが多いのですが、これは熱過ぎます。本当のぬる燗は38度が適温です。電子レンジで温める秒数もキッチリ決まっています。」
郷原弁護士「その話は検察官にはしましたか?」
T「伊藤検事に言ったかどうか覚えていません。」

郷原弁護士「山家で席を外しましたか?」
T「私は一貫して席を外していないと言っています。」
郷原弁護士「トイレで席を外すことは?」
T「外す理由がありません。根拠はさっき言った、僕がトイレにめったに行かないことと人と会う前に事前に済ませていることが多いからです。」
郷原弁護士「携帯電話で席を外したことは?」
T「ありません。緊急の用はなかったことと藤井さんと会う時間は貴重なので、かかってきても取らないからです。」
郷原弁護士「山家住吉店の店の構造は電話しやすいですか?」
T「電話しにくい構造でした。座敷は小上がりになってるのと中央のテーブル席は客が多くて、そこを通過して、わざわざ電話するために店の外に出るのは面倒だからです。」
郷原弁護士「山家に行った時の履き物はどうでしたか?」
T「まだ寒かったのでスーツを穿いてたと記憶しています。足はジーンズにあうショートブーツです。ちょうど今履いているような。」
郷原弁護士「スリッパを履いたことはありませんでしたか?」
T「履いた記憶はないです。まだ寒かったですし、衛生面もあるので、履かないです。」

郷原弁護士「検察官の1回目の取り調べがあったのはいつですか?」
T「警察の取り調べの2日後の6月26日です。」
郷原弁護士「その時の調書の書き方はどうでしたか?」
T「僕の言ったことをその通り取ってくれたと思います。」
郷原弁護士「その内容は?」
T「「Nが「藤井に渡した。」と言っているが、私は見ていない。仮にそうとすれば、私が席を外した時しかありません。」と書いてくれました。「仮に」というのは、そこにいる伊藤検事からそう書いておきましょうかと提案され、その書き方で了承しました。」

郷原弁護士「では、7月24日の調書で「なるべく中座しない観点から考えると」というのは覚えていますか?」
T「覚えていません。」
鵜飼裁判長「いま主尋問なので、訊き方に注意してもらえますか。」
郷原弁護士「どうしてこんな表現に?」
T「あくまで理由を論理的に説明しようとして、「観点から」と一般論で答えていたからその表現になったと思います。」
郷原弁護士「検察官に対しても、そういう言い方で話していましたか?」
T「僕は中座してまで電話に出ない、という趣旨を申し上げました。」


関内検事「平成25年4月当時の仕事は?」
T「正式には無職でした。主に貯えで生活していました。時々、日雇いで飲み物や生活雑貨を運ぶ仕事をして収入を得ていました。」
関内検事「あなたが居酒屋を経営していた期間は?」
T「平成15年10月から平成25年7月です。」
関内検事「居酒屋をやめたのは?」
T「トラブルがあったことと自分がやりたいことがあったのでやめました。」
関内検事「やりたいこととは?」
T「政治活動です。」

関内検事「Nさんとはどういう関係?」
T「Nさん水源の内部の仕事を手伝って欲しいと頼まれ、月15万円の約束で手伝うことにしました。ただ、振り込まれたのは最初の月だけで、あとはもらってません。」
関内検事「政策研究所の方は?」
T「政策シンクタンクは、議員が断念したので、あきらめました。」
関内検事「議員秘書のIさんはあなたの師匠ですか?」
T「いえ、当時、Iさんは秘書ではなかったです。Iさんは師匠というより、年の離れた友人です。」

関内検事「中村孝道市議と一緒に飲食に行ったことは?」
T「あります。」
関内検事「Nさんも一緒にいましたか?」
T「Nさんは一緒にいた時も、一緒でない時もありました。」
関内検事「5回は一緒に飲食しましたか?」
T「はい。」
関内検事「Nさんと2人で飲食したことは?」
T「あります。」
関内検事「飲食代はいつもNさんが負担していましたか?」
T「はい。出してもらってました。」
関内検事「当時、Nさんがお金出してくれたのですか?」
T「はい。ほかに友人からもらったのもありますし、たまにパチンコの勝った分も。」
関内検事「4月2日ガストで会食した時に席を外しましたか?」
T「外してません。」
関内検事「具体的な記憶として外していないと言えますか?」
T「はい。」
関内検事「4月25日山家住吉店で会食した時に席を外しましたか?」
T「外してません。」
関内検事「具体的な記憶として外していないと言えますか?」
T「はい。」

関内検事「過去の飲み会で席を外したことはありますか?」
T「滅多にないですが、友人同士の飲み会で外したことはあると思います。」
関内検事「では、絶対に席を外してないとは言えませんね?」
T「一貫して席を外していないと答えています。」
関内検事「郷原先生の供述録取書を取った時にも、そう答えていましたか?」
T「はい。」
関内検事「100%席を外していないと断言できますか?」
T「これまで警察に「絶対か?」。そちらの伊藤検事にも「絶対か?絶対に席を外していないと言うんだな?」と何回も何回も確認されました。裁判での記憶の定義は分かりませんけど、100%はないにしても、私の記憶では席を外していません。」

関内検事「郷原先生の陳述書には「1年前のことで具体的なことは」と書かれていますが、本当は覚えていなくて、後付けでそう思い込んでいるだけでは?」
T「違います。私の記憶では席を立ったことはないということです。」
関内検事「あいまいな記憶だけど、断言していることはないですか?」
T「いいえ。とにかく警察は「絶対か?」としつこかった。本当にしつこくて、体調を崩しました。何度も何度も詰問されて、そこまでは言い切れません、というので署名しました。警察は僕の記憶を潰そうという感じでしつこかった。私の記憶ではトイレに立ってないので、席を外していません。」
関内検事「それはあなたの記憶でなく、一般論で理由を説明しているだけでは?」
T「違います。記憶に基づく論理的な説明です。」

関内検事「4月2日ガストで3人で会う約束をしましたか?」
T「電話かメールかは忘れましたが、会う約束をしました。」
関内検事「調書の中では、「Nさんが渡したというなら渡したのかも。」ということを言っているが?」
T「Nさんの言葉は、そう言っていると取り調べで聞かされたので、Nさんが自分で言ってるのならそういうこともあるだろうという、同意です。」
関内検事「誰かドリンクバーに行きましたか?」
T「最初に3人でドリンクバーに取りに行きました。その後は取りに行っていません。」
関内検事「バラバラにドリンクを取りに行くこともあるのでは?」
T「あまり想定しません。あるとすれば誰かが誰かのドリンクを取りに行く時くらい。僕とNさん、藤井君はそんな関係ではありません。基本的に全員で取りに行きます。」
関内検事「Nさんから藤井さんに資料を渡しましたか?」
T「たくさんの資料を渡した場面はあるので、明確ではないですが、資料は渡したかもしれません。僕は中身を見ていないので、はっきり分かりません。」

関内検事「4月25日、山家で藤井さんが来る前に、Nさんと2人で何か話しましたか?」
T「たわいもない内容です。水源のプラントのことではありません。」
関内検事「では、藤井さんが合流した後、浄水プラントの話はしましか?」
T「プラントの話は軽くあったかもしれませんが、時間がないのでほとんどしてないと思います。」
関内検事「Nさんが退席時に「そろそろおいとまします。そして・・・」というメールを送ったことは覚えているか?」
T「記憶にないです。」
関内検事「メールの意味は何だと思うか?」
T「Nさんの水源の浄水プラントの件を忘れずに言っておいてという意味だと思います。」
関内検事「あらかじめ事前打ち合わせしていたのではないのか?」
T「違います。その場ではそんな話はしてません。」

関内検事「山家でアルコールを注文しましたか?」
T「ビールを2杯、中ジョッキで注文しました。」
関内検事「トイレに行きましたか?」
T「行ってません。」
関内検事「トイレに行きたくなる可能性は?」
T「ありません。」
関内検事「アルコールを摂取したらトイレに行きたくなるのでは?」
T「それは個人差があるのでは。」
関内検事「ビールを2杯飲んだら、トイレに行ってもおかしくないのでは?」
T「僕は行ってません。」
関内検事「でも、ビールを2杯飲んだら、行きたくなることもあるでしょう?」
T「僕は行きません。この前、ある記者と、」
関内検事「もういいです。言い訳は聞いていません。」

関内検事「事前にトイレを済ませるというのは本当ですか?」
T「子どもの時からの癖があることに、最近気づきました。」
関内検事「それは平成25年4月以降の癖ではないのですか?」
T「いいえ。」

関内検事「以前、Nさんと中村孝道市議と一緒に山家に行った時にトイレに行ったことはありますか?」
T「山家ではないと思いますね。」
関内検事「山家以外のお店で席を外したことはありますか?」
T「外したことはあります。」

関内検事「藤井さんも含め、誰かとの飲食時に席を外したことは全くないわけではありませんね?」
T「「藤井さんも含め」とは、どういう意味か分かりませんが。藤井さんといた時は外していません。藤井さん以外といる時は席を外したことはあります。」
関内検事「誰ですか?」
T「友人であったり、他の議員といる時にトイレに立ったことはあります。電話はないです。」

関内検事「山家でトイレに行ったことありませんか?」
T「ありません。そもそも僕はトイレの場所を知りません。」
関内検事「それは記憶でなく、理由を説明しているだけでは?」
T「逆です。この件が問題になった時、僕はトイレの場所を知らなかった。何で知らないのか理由を考えると、行っていないし、行こうともしていない。行ったなら覚えているはずです。」
関内検事「過去、あなたが席を外したことは?」
T「他の議員と話をするのが嫌な時、席を外したことがあります。」
関内検事「では、山家で席を外したのは単に覚えていないだけでは?」
T「違います。藤井さんと会って話す時間は貴重なので、途中で席を立つことはありません。」

関内検事「Nさんはあなたにバレないようにしていたと感じませんでしたか?」
T「知りません。Nさん本人がどう思ってるかの話なので。」
関内検事「Nさんは議員にお金を渡したと話していますが?」
T「意味がないと思います。Nさんがやっても効果ないと思います。」
関内検事「「そんな金があるなら、僕にくれ。」と言ったことはありませんか?」
T「はい。冗談で言ったことはあると思います。」

関内検事「名古屋市の件で活動費300万円をもらったなら、Nさんのお金をどう使おうと思いましたか?」
鵜飼裁判長「一般論ですか?それとも、本件のことで訊いていますか?」
関内検事「本件について、質問します。」
T「当初、名古屋の市民病院に井戸を掘る政策を作るための活動費として約300万円をもらいました。公募までいかないなら、僕は返すつもりでいました。」
関内検事「政策を作る活動とは?」
T「議員や関係者から情報を取りに行ったり、自分で調べたり、政策に必要な情報を集めて、実現可能なかたちに提案することです。」
関内検事「市の病院局に渡したのでは?」
T「違います。正当な政治活動としてやっていました。」
関内検事「議員から情報を取るのはどうやっていましたか?」
T「これはすべて答えなければいけないのでしょうか。」
鵜飼裁判長「差し支えがあるなら、拒否もできます。」
T「では、差し支えますので、答えません。」
関内検事「活動費をどう使いましたか?」
T「相手もあるので、答えません。」

関内検事「Nさんが「役人に渡した?」と確認しなかったか?」
T「Nさん本人のことなので、分からないが、Nさんがそう思い込んでいたのでは。」

関内検事「あなたは居酒屋の家賃240万円を滞納していましたね?」
T「滞納ではありません。大家ともめたので払わなかっただけです。」
関内検事「どうして家賃を支払わなかったのですか?」
T「この件は裁判と関係ないと思いますが。答える必要ありますか。」
関内検事「どうやって家賃を支払いましたか?」
T「居酒屋のお金で払いましたが。」
関内検事「その資金はどこから?」
郷原弁護士「異議。主尋問の範囲を超えています。関連性がありません。」
関内検事「NさんがTさんにお金のことを知られたくない事情と証人の信用性に関して、質問しています。」
鵜飼裁判長「信用性に関連する範囲では認めますけど、あまりに話が広がると、裁判所としても止めざるを得ません。」
関内検事「なぜ家賃を払いたくないと思ったのですか?」
T「ビルのオーナーになるかどうかで大家ともめてしばらく払いませんでした。退去期限が迫ってきたので、店の金でまとめて払いました。」
関内検事「名古屋市の件の活動費300万円で家賃を支払ったのでは?」
T「違います。店の金は店の金で管理していました。」

関内検事「Nさんはあなたの前ではお金の話を避けていたのでは?」
T「そんなことはないです。Nさんは、たびたびお金ないことを僕に素直に言っていました。「今日は3000円しか持ってない。」「じゃあ、1000円でいいです。」という会話もしていました。」

関内検事「あなたは警察の最初の取り調べで「Nさんは渡したと思う。」と話さなかったか?」
T「そんなことはありません。Nさんがそんな人間なら、渡したことがあるかも、という同意です。」

関内検事「弁護士と初めて話をしたのはいつですか?」
T「6月26日夜、検察の取り調べを受けた後です。」

関内検事「ニコニコ動画の番組に出演しましたか?」
T「はい。伊藤検事の了承をとって出ました。」

関内検事「7月14日の検察官の取り調べは覚えていますか?」
T「どんなことを言ったか覚えていません。」
関内検事「調書に「裁判になったら藤井につくしかない。」と書かれていることは覚えていませんか?」
T「記憶にないです。」
関内検事「調書に「席を外したことがある。」と書かれていますが、事実ですか?」
T「仮定の話で「仮にそうとすれば、席を外した時しかありません。」という言い方を何度もしたはずです。しつこく「絶対か?」と迫るので、取り調べを終えたくて署名しました。」
関内検事「調書には「席を外している時に渡したとNが証言していると聞いている。」と書かれているが、事実か?」
T「それは検事さんからそう聞かされたというだけでは。伊藤検事は紳士的に取り調べてくれたが、チェックが十分でなかったかもしれません。基本的に僕は仮定の話は区別して話しています。」

関内検事「7月4日の検察官の調書の内容は覚えていますか?」
T「覚えていません。」
関内検事「「1年前のことなのでそこまで覚えていない。」という内容だったのでは?」
T「そうだったかもしれません。」
関内検事「取り調べには、席を外した前提で話していたのではありませんでしたか?」
T「ありません。」

関内検事「4回も藤井さんと会って水源のことをお願いをしたのはなぜ?」
T「一生懸命、お願いしていません。木曽路で初めて会った時は、まだ僕らは美濃加茂市の水道事情とか具体的なことは分からないので、深い話はしていません。華川で会った時は、議会で興味を持ったという話でした。山家で会った時は、市長選が迫っていたので、話題にする時間がなかったはずです。あるとしても、「お願いします。」とあいさつ程度です。請託というような大した話ではありません。」

関内検事「郷原先生の陳述書は、自主的に話した内容ですか?誘導されたのでは?」
T「普通に話したと思います。「そんな大したお願いはしていない。」というのが若干表現が違っているかも。」

郷原弁護士「6月26日は私でなく他の弁護士さんと相談しましたか?」
T「僕が体調不良で倒れる前、Iさんの紹介で、弁護士さんと会いました。それから、6月27日に郷原弁護士と話をしました。取り調べで、僕の彼女も呼び出して事情聴取するぞと言われて、身の危険を感じて、弁護士さんに相談しようと思いました。」

郷原弁護士「ネット署名は弁護士の了解を得ていましたか?」
T「いえ、弁護士さんに相談せずに、署名しました。」

郷原弁護士「ビール2杯飲んだ後、トイレに行かなかった理由は?」
T「そんな程度で行きません。ビール2杯でトイレ行くはずというのは論理の飛躍だと思います。この前、ある記者と朝5時まで飲みに行きました。その時はビール10杯飲みましたが、1回もトイレに行かなかったです。記者仲間で「本当ですね。」と話題になっていました。この話は伊藤検事にも話したはずです。」

郷原弁護士「政策論議は大事なので、トイレは事前に済ませておくことにしていたのですか?」
T「とくにそういう訳ではなく、人と会う時はそうしていますね。僕は子どもの頃から、立ち小便したことはありません。モラルに反しますし、長年の習慣になっています。少年野球をやっていた時もそうでした。」

郷原弁護士「Nさんが「役人に渡してくれた?」と言ったという言葉は?」
T「Nさん本人のことなので分かりませんが、もしそんなことを言ったのなら、それはいけないことだと本人に言うと思います。」
郷原弁護士「あなたがNさんから直接頼まれたことは?」
T「ありませんでした。」

武藤裁判官「3人で会った回数は合計何回ですか?」
T「5度、いや、6度です。美濃加茂のらんぷという喫茶店で、ガストと山家の間の平成25年4月に1回。あとは、市長選後に山家で1回ありました。市長選後会ったのは、僕が「すみません。市長待たして。」と冗談を言ったので、覚えています。」

鵜飼裁判長「市長選後に会った時期は覚えていますか?」
T「何月頃かは覚えていません。」
鵜飼裁判長「着席した位置は覚えていますか?」
T「一番奥の角。左奥です。」
鵜飼裁判長「話の内容は覚えていますか?」
T「たしか、条例の公募化とか、副市長を置かない方法もあるという話をしたと思います。」
鵜飼裁判長「その時、Nさんもいましたか?」
T「いたと思います。というか、常連のNさんでないと僕が山家に行くことはないと思います。」

鵜飼裁判長「平成25年4月25日に山家で会うきっかけは何でしたか?誰が誰を誘いましたか?」
T「藤井君がいよいよ市長選に出るというので、選挙のことやマニフェストの案で話したいと、僕が誘われました。それから僕がNさんを誘い、山家で会うことにしました。」
鵜飼裁判長「Nさんを誘った理由は何でしたか?」
T「僕の飲食代を出してもらうためです。毎月の報酬がもらえなかったので、食事代くらい出して下さいよ、とNさんに来てもらいました。この時は、選挙前なので、浄水プラントの話はあまりしてませんし、時間もなかったと思います。」

鵜飼裁判長「らんぷという喫茶店で話した内容は覚えていますか?」
T「この時は、雨水はどこにでもあるから活用できる、と浄水器の話をしたと思います。」
鵜飼裁判長「その記憶はどの程度鮮明ですか?」
T「らんぷで3人で会話したという記憶ははっきり覚えています。」

証人尋問終了。

郷原弁護士「弁護人より。先に行われた証人Nの供述は信用できません。同席者の人数について、供述は不合理な変遷を遂げており、信用できないものと考えます。また中村署で同房だったOへの手紙の中にも、Nが「人数が合わない」と警察に詰問されたとの内容があります。このことからNの「検察官の誘導はなかった」との証言は信用性がありません。N証言を反証するために、今後、取り調べ検事の証人尋問も考えます。裁判所におかれましては、訴訟指揮権の発動に基づく証拠開示命令を求めたいと申し上げます。」
鵜飼裁判長「検察官の意見は?」
関内検事「おって書面で明らかにします。」
関内検事「検察官より。弁護人によるNからOへの私信を公開するのはいかがなものかと考えます。」

第4回公判終了。閉廷。

傍聴雑感
最高に面白い証人尋問でした。特に検察官が「ビールを2杯飲んだならあなたはトイレに行くはずだ」みたいな英語の問題集にたまに出てくる変な例文みたいな質問をした時が一番吹き出しそうになりました。本当はもっと長たらしく何回もトイレに行ったか質問していたのですが、正直、笑いをこらえるのに必死でメモに書き取ることができませんでした。そこはリアルタイムで傍聴した人だけの醍醐味ということでお察し下さい。後にも先にも、これだけトイレに行ったかどうかを問題にする証人尋問はないと思います。

山家の店長さんはやや恐縮した感じで受け答えしていました。同席者のTさんは、他の証人の前評判からは一体何者なんだという得体の知れなさ感を抱いていましたが、能弁で面白い人でした。これだけ意志の強い証人を崩すのはほぼ不可能だと思います。検察官からは弁護側が呼んだ証人に対する敵意のようなものすら感じました。

弁護団6名の配置は以前と同じでした。検察官の席は裁判官に一番近い右前に伊藤検事、左前に関内検事という配置でした。