2014年10月11日土曜日

10月1日 第2回公判 証人尋問 検察側主尋問

10月1日、仕事がオフだったので、いま東海地方で最も話題になってる裁判の傍聴に行ってきました。この日と次の日の2日は、贈賄者とされる会社社長N氏の証人尋問で、この裁判最大の山場でした。

※おことわり
なるべくメモった通りに再現しようと打ち込んでいたら1万字 超えました。誤字・脱字はご容赦下さい。ところどころ、やり取りの脱落 、ですます調が雑な表現になっていることがあります。内容について、関係各所から批判、訂正・削除要求、謝罪要求、脅迫的言辞などがあればコメント欄で受け付けます。正当な理由があると判断した場合は、その旨、明示して対応します。 こちらの手に余る内容や権利侵害的なものは予告なく削除します。管理人は文筆を業とする者 ではないので、管理が面倒になったら閉鎖することがあります。

↓以下、傍聴メモ                                     

証人N入廷。

関内検事がNに何事かを耳打ち。1分くらい。着席。


・人定質問

鵜飼祐充裁判長「Nさんですね。」
N「はい。」
鵜飼裁判長「宣誓文を読み上げて下さい。」
N「良心に従って、本当のことを申します。」


・検察側主尋問

関内検事「あなたは株式会社水源の社長ですね。」
証人N「はい。」
関内検事「藤井浩人さんのことは知ってますね。」
N「はい。」
関内検事「藤井さんに現金を渡しましたね。」
N「はい。」
関内検事「いつどこで渡しましたか?」
N「平成25年4月2日ガスト美濃加茂店で10万円。4月25日山家住吉店で20万円渡しました。」

関内検事「何を依頼しましたか?」
N「水源の浄水器の設置を市議会の質問や役人へのはたらきかけを依頼しました。」

関内検事「あなた自身、銀行の融資詐欺で起訴され、罪を認めてますね。」
N「はい。」

関内検事「水源の事業内容は?」
N「地下水を浄水して事業所用水に、雨水を浄水して飲料水に利用できる浄水プラントを販売していました。」

関内検事「設置工事も水源が?」
N「いいえ、設置は外注していました。」

関内検事「水源の収支、お金の出入りは?」
N「金融機関から融資を受け、浄水器の営業活動を行い、レンタル契約を締結します。レンタル料を返済に充て、余りが利益となる仕組みでした。」
N「地下水浄水プラントは病院、介護施設向け。雨水浄水プラントはプールなどを想定していました。」

N「美濃加茂市には市民病院がないので、雨水浄水器の営業が期待できると考えました。防災用に太陽光で稼働するプラントを開発しました。」
関内検事「あなたが考えた。」
N「はい。自分で名前をつけました。「自然循環型雨水浄水プラント。」と。」

関内検事「事業の展望は?」
N「全国の小学校4万校のうち数パーセントでも契約が締結できれば、大きな利益になると踏んでいました。」
関内検事「行政への申請は?」
N「平成24年12月に特許申請しています。美濃加茂市へは平成25年3月に。それ以前に名古屋市に地下水と雨水両方の浄水プラントの営業を行っていました。」

N「名古屋市への売り込みに関しては中村孝道市議に依頼しました。中村市議とは、平成23年11月、当時済藤市議の秘書だった政策コンサルタントTさんの紹介で知り合いました。」

関内検事「Tさんと知り合ったのは?」
N「Tさんとは、知人のH・Yの紹介で知り合いました。名古屋の市民病院S病院との契約には本庁へのはたらきかけが必要と。本庁とは教育委員会と水道局です。Tさんが原稿を作り、それをもとに中村市議が議会で質問しました。」

関内検事「結果は?」
N「名古屋市と契約締結にはいきませんでした。」

関内検事「藤井さんと知り合ったのは?」
N「平成25年2月、Tさんの紹介で。水源の資料を持ってきて欲しいと言われました。私は、美濃加茂市を足がかりに、他の自治体への拡販、売り込みを考えていました。」

関内検事「美濃加茂市への売り込み当時、資金繰りは?」
N「銀行から多額の融資がありまして、その返済の借換えなどで楽ではありませんでした。自治体と契約できればチャンスになるかもと考えていました。」
関内検事「自転車操業から抜け出せると考えた?」
N「はい。」

関内検事「藤井さんと初めて会ったのは?」
N「平成25年3月7日の昼、錦の木曽路です。Tが設定し、店の予約は私がしました。」
関内検事「席に着いた順番は?」
N「私とTが先に。藤井さんは後で来ました。個室席で、私とTさんが隣同士。Tさんと藤井さんが机の向かい側に座り、名刺交換しました。」

関内検事「藤井さんの初対面の印象は?」
N「さわやかな好青年。クリーンなイメージで政治家っぽくないと思いました。」

関内検事「どんな話をしましたか?」
N「私が藤井さんに名古屋市教育委員会に出したのと同じカラーの資料を渡しました。藤井さんが資料をパラパラとめくっていたところ、食事が到着。」

N「食事中、Tさんが「藤井君、今度、議会あるよね。」「今回は時間的に難しいね。」「名古屋ではこうやってるよ。S病院の件で孝道さんに議会を通さず、裏で動いてもらってる。」と話していました。」

N「食後、私が藤井さんに浄水プラントのメリットを説明し、「全国で初めて導入して欲しい。」とお願いすると、藤井さんは「いいですね。やりましょう。」と言ってくれました。そのあと、藤井さんはTさんと政策の話をしていました。」

関内検事「会計は誰がしましたか?」
N「私が3人分クレジットカードで支払いました。藤井さんが財布を出しましたが、私が「要りませんよ。」と言うと、「すみません。ごちそうになります。」と、この時は藤井さんは支払わなかったと思います。」

関内検事「お店を出たのはいつですか?」
N「15時頃、店員から「お時間です。」と声かけがあり、木曽路を出ました。藤井さんと別れた後、私は「藤井さんは孝道さんと行動力が違う。」とTさんに話しました。水源の事務所に戻り、「今回はありがとうございました。微力ながら議員のお力になれるようがんばります。」と藤井さんにメールを送信しました。」

関内検事「お力とはお金のことですか?」
N「はい。」

関内検事「2回目に藤井さんと会ったのは?」
N「3月22日、名駅の華川です。Tさんがセッティングし、店の予約は私がしました。午後2時、掘りごたつの席に私とTさんが先に着き、藤井さんが後で来ました。先に食事を注文し、私は前回の資料に加え、ペットボトル何個分と分かりやすい数字を入れた「美濃加茂市御中」のタイトルをつけた資料を用意し、藤井さんに渡しました。」

N「藤井さんが「こないだの議会質問の反応よかったですよ。」と言ったのを聞いて、私は導入のスタートラインに立てたと思いました。」

N「食事が到着し、藤井さんとTさんが政策論議をしていました。私から藤井さんには浄水プラントのメリットを説明しました。太陽電池で稼働し防災に役立つことと初期費用なしの契約条件を説明しました。藤井さんは真剣に聞いていました。藤井さんからは濾過器の性能について質問がありました。」

N「私が藤井さんに「美濃加茂市への導入に力を貸して欲しい。」と言うと、藤井さんは「ぜひやりましょう。」と言ってくれました。Tさんは「役人なんて議会で質問したらびびる。役人は嘘つきなので全部、書面でやりとりして逃げられないようにしないと。」と役人の動かし方について語っていました。」

N「Tさんが「藤井君、9月の市長選出なよ。」と勧めていました。藤井さんは「渡辺市長とは仲が良い。再選するなら僕は出ない。」と断りました。Tさんが「もし渡辺市長が再出馬しないなら、出るでしょ。」と聞くと、藤井さんは「考えておきます。」と答えました。Tさんは「浄水プラントの導入を成果として、市長選に出たら良い。」とも言い、「まず1個だけモデルケースとして導入するのが良い。」と話していました。」

N「藤井さんが「Tさんには選挙の協力もお願いしたい。」と言うと、Tさんは「僕は高いよ。」と答えました。「市議は給料は安い。お金ないんです。」と藤井さんが話すと、「市長やったら、ポケットマネー出せる。」とTさんが言っていました。「私も協力させてもらう。」と私はTさんの資金面も含めて協力するつもりでいました。」

関内検事「会計は誰が払いましたか?」
N「私が3人分クレジットカードで支払いました。藤井さんは1000円を出して私が受け取りました。私が藤井さんに「この週に間に合うので、役所にお願いしておきます。」と言って4時ころ別れました。」

関内検事「その後、どうなりましたか?」
N「3月25日、美濃加茂市防災安全課のK課長から私に「美濃加茂市役所で詳しい話がしたい。」と電話がありました。藤井さんがプレッシャーをかけてくれたと思いました。3月27日に美濃加茂市役所に説明に行き、課長から具体的な提案をしてほしいと言われました。私からは現場の図面と水道使用量の資料をお願いしました。」

関内検事「4月2日ガストの件について聞きたいと思います。」
N「3月30日、31日頃、藤井さんにお金を渡そうと思いつきました。」
関内検事「なぜお金を渡そうと思いましたか?」
N「議会質問とK課長へ働きかけしてくれたことのお礼と、この勢いを続けてもらおうとお願いするつもりでいました。」

関内検事「お金はどうやって用意しましたか?」
N「Yさんから借りました。Yさんに電話で頼むと「休み明けに15万円貸したるわ。」と応じてくれ、4月1日月曜日、水源の大垣共立銀行の口座に振り込まれました。」

関内検事「ガストで会うことになった経緯は?」
N「4月2日朝、藤井さんに「今日、お時間いただきたい。」「ご相談したいことがあります。渡したい資料もあります。」とメールしました。ショートメールの字数制限で2回に分けて送りました。資料を口実に会おうと思いましたが、お金のことは書けませんでした。」
N「藤井さんから「正午なら。」と返信。その後、「市役所近くのガストはどうでしょうか?」「時間ないので店の外でお願いします。」とガストの駐車場で会うことにしました。その時は、駐車場で資料にカモフラージュして渡そうと思っていました。」

N「大垣共立銀行で15万円を引き出し、5万円を返済で支払い、残り10万円は手元に持っていました。水源の事務所に戻り、Tさんに連絡し、3人で会うことになりました。」

関内検事「Tさんにはお金のことは話しましたか?」
N「秘密にしておこうと。名古屋の病院の件でTさんに300万円を活動費として支払ったことがあったので、Tさんに知られたらまた大金を支払うことになるかもと思いましたので。」

関内検事「絶対にお金のことはTさんに知られたくないと思いましたか?」
N「絶対ばれてもいけないというのでもありませんでした。最悪、Tさんなので。世間や警察にばれるのとは違うので、ばれたらばれたで仕方ないと。」

N「水源の事務所で、資料とカモフラージュする準備をしました。資料を改めて作成しました。」
関内検事「資料を改めて作成した理由は?」
N「もしTさんに何か聞かれても新しい資料と言い訳するために数字を入れ直しました。」

関内検事「どうやってお金と資料を持って行きましたか?」
N「作成した資料と課長との打合せ報告、プラント導入の工程表、N中の航空写真を水源の社用の提案書の様式を表紙にして、A4の背表紙が綴じられるクリアファイルに綴じました。現金は大垣共立銀行の白い封筒に入れました。現金は1万円札10枚で10万円です。」
N「クリアファイルと資料の最後のページの間に現金を入れた白い封筒を挟みました。資料と白い封筒をはさんだクリアファイルを薄緑色のA4より少し大きい封筒に入れて持って行きました。」

関内検事「中村警察署での再現写真を示したいと思います。」
鵜飼裁判長「それは証拠請求されていません。」
関内検事「撤回しました。」
鵜飼裁判長「甲79号証ですか?」
関内検事「はい。」
主任弁護人郷原信郎弁護士「異議。どういう根拠で示したのか。再現の状況は。」
郷原弁護士「いつどこで?」
関内検事「6月8日ですよ。」
郷原弁護士「開示証拠の中にありません。」
関内検事「ブツなので。」
郷原弁護士「第3回公判前整理手続時に検察官から「おって明らかにする。」とだけありましたが、その後、釈明がありません。」
中村弁護士「弁護人の中村より。この再現写真なるものは、われわれは初めて見聞きするものです。不当な証拠請求であり、違法性のあるものと考えます。」
(しばし紛糾。書き取れず。)
鵜飼裁判長「裁判所の決定を伝えます。証人の記憶喚起のため、再現写真の提出を認めます。」
神谷弁護士「弁護人の神谷より一言。検察官のこのような証拠提出方法は公判前整理手続の趣旨を損なうものと申し上げます。」

(両サイドのモニタに再現写真映し出し。取調室で証人Nが封筒を手に持ってる写真。封筒とファイルの拡大写真。)
関内検事「クリアファイルに白い封筒を挟んだ位置はこの通りですか?」
N「いえ、私の記憶では、もうちょっと上だった気がします。」
鵜飼裁判長「もうちょっと具体的に質問してくれますか?」
関内検事「このクリアファイルのラインから何センチくらい上ですか?」
N「ラインの上の余白の半分くらいだった気がします。」
関内検事「この状態で持っていたのですね。」
N「はい。」

関内検事「ガストに着いた状況を聞きたいと思います。」
N「4月2日9時前、ガスト美濃加茂店に私とTさんが行きました。藤井さんは車で来ました。私とTさんは車から降りて会いに行くと、藤井さんは「時間が空いたので中で話しましょう。」と店内へ。」
関内検事「店内に入った後は?」
N「奥の端の席。テーブル番号2の9の席に座りました。」
関内検事「現場見取図を示します。」
(モニタに店内の見取り図。)
鵜飼裁判長「この図面に位置を指さして下さい。そこを赤ペンで記入してもらえますか。」
N「私とTさんが隣同士。反対側に藤井さんで奥のドリンクバーの方。Tさんと藤井さんが向かい側に着席しました。」
ガスト着席位置


N「ランチとドリンクバーを3人分注文。Tさんが「藤井くんも飲む?」とドリンクをTさん自身の分と藤井さんの分を取りに行きました。私は「僕は後で。」と席に座ったままでいました。」
関内検事「なぜ着席したまま?」
N「Tさんが立った隙にお金を渡そうと思いました。」

関内検事「お金の受け渡しの状況は?」
N「テーブル上に大きい封筒からファイルを半分だけ出して、ひっくり返しました。ファイルの裏に挟んだ大垣共立の白い封筒を見せた後、大きい封筒に戻して手渡しました。」

関内検事「何か言いましたか?」
N「私は「これ少ないけど足しに。」と小声で。藤井さんは「すみません。助かります。」と小声で答えて、封筒を受け取りました。すんなり受け取ったと思います。」
N「私は「Tさんには」と言って左手の人差し指を口に当てないしょのジェスチャーをしました。」

関内検事「受け取った封筒はどうしましたか?」
N「藤井さんは受け取った封筒を右の空席に置きました。」

N「Tさんが席に戻り、私がドリンクバーに立ちました。その後、食事が到着し、3人で水源の浄水プラントの話をしました。」
N「藤井さんは「K課長も動いてくれるようですね。」と言っていました。私は「その時は宜しくお願いします。」と藤井さんに言いました。Tさんは「今後、PTA対策も考えておこう。」と言っていました。藤井さんはTさんと美濃加茂市の政策論議をしていました。」

関内検事「会計はどうしましたか?」
N「会計は私がクレジットカードで3人分支払いました。Tさんは払っていないと思います。藤井さんが「ここはワリカンで。僕の地元だし。」と言ったので、私は「500円でいいです。」と。藤井さんはテーブルに500円を置いて帰りました。」

関内検事「ガストを出た後は?」
N「ガストから水源の事務所に戻り、Tさんと別れました。メールを送信。」
N「事務所で教育関係者向けの資料を作成しました。資料には「防災安全課御中」と宛名を書きました。藤井さんに見せました。ほかに、K課長、水道課、N中の校長にも見せました。」

N「私は、K課長はきちんと対応してくれると思っていました。ただ、教育関係者の反対で板挟みにあると思っていました。」
N「私は藤井さんに「期日を定めた方が良い。」とメールで意見しました。藤井さんから「期日を切ったけど、回答が来ない。」と返信がありました。K課長からは「各部署との調整もあるので、ご理解下さい。」とメールがありました。さらに書面が必要と思い、Tさんに相談して藤井さんに送りました。その後、4月19日に渡辺市長が辞職し、藤井さんから「辞職のドタバタでK課長へ書面はまだ送れてない。」と電話がありました。」

関内検事「山家の件について経緯を聞きたいと思います。」
N「4月24日朝、Tさんから「藤井くんから昨晩連絡が。早くうちに連絡して。」とメールがあり、電話すると「藤井君が市長選に出馬するそうだ。トップ当選の経験もあるし、前市長の後継指名もあるから間違いなく当選するだろう。」と話していました。」
N「私は、もう一度お金を渡しておこうと思い、知人のH・Yから50万円借りました。4月25日朝、電話でH・Yに頼みました。H・Yには本当のことを言っても大丈夫と思い、政治家に渡す金だと言いました。翌4月26日に50万円貸してもらう約束をしました。」

関内検事「なぜ50万円を借りたのですか?」
N「前回より多めに20万円渡そうと思っていました。手元に現金がなかったわけではないですが、資金繰りのこともあり、上乗せしてH・Yから50万円借りようと。お金を借りる電話をした時は、まだ藤井さんと会う約束はしていませんでした。」

関内検事「4月25日当日は?」
N「25日夕方、Tさんから「今晩、藤井君と会うから。」と連絡があり、山家で会うことになりました。」
N「私は、中京銀行から90万円出金し、十六銀行に70万円入金しました。残り20万円を手元に持っていました。」

N「午後9時30分頃、栄の山家住吉店に行きました。店にはTさん、私、藤井さんの順に着きました。店の予約は私がしました。」
N「この時、1万円札20枚、現金20万円を入れた茶封筒をスーツの内ポケットにしまって、Tさんが席を外した隙に渡そうと思っていました。茶封筒は口を二つ折りにしていました。中のお札は折れていなかったと思います。」
(再びモニタに甲79号証の再現写真。茶封筒の拡大写真。)
関内検事「この再現写真のように口を二つ折りしていたのですね。」
N「そうです。」

(モニタに店内見取図。)
関内検事「どこに着席しましたか?」
N「山家住吉店の掘りごたつの奥の席44番に座りました。私とTさんが隣同士。藤井さんは奥の席でTさんと向かい同士に着席しました。」
山家住吉店着席位置


関内検事「どんな話をしましたか?」
N「まず藤井さんが「市長選に出ます。後継指名と地元青年部の後援ももらいました。挨拶回りで連絡できなくてすみません。」と挨拶しました。」
N「Tさんが「藤井君、選対でも何でもやるよ。」と言うと、藤井さんは「選対は大丈夫です。青年部の応援がありますので。」「Tさんには、マニフェストの案をお聞きしたい。」と言いました。Tさんが「そんなの簡単だよ。僕は高いよ。N君も協力してくれる。」と言うので、私は「もちろん協力します。何でもやります。ぜひお願いします。」と答えました。」
N「私が藤井さんに「市長になっても水源のことは忘れないで下さいね。」と言うと、「そんなわけないじゃないですか。」と藤井さんは言いました。」

関内検事「どんな意味で言ったのですか?」
N「当選して市長として働きかけを継続してもらい、もし落選して議員でなくなっても影響力を持ち続けてくれればいいと。」

関内検事「お金を渡した場面について。」
N「Tさんが席を外した時、藤井さんに現金を渡しました。」

関内検事「どうしてTさんは席を外したのですか?」
N「なぜ席を立ったのかは分かりません。トイレかな、と。」

関内検事「どうやってお金を渡したのですか?」
N「ジャケットは脱いで床に置いていました。内ポケットから茶封筒を取り出し、テーブルの反対側に回って、藤井さんの左隣に移動して渡しました。」
N「両膝をつけて、正座より高い位置で。」
関内検事「つま先を立てて、足の上にお尻を乗せて、」
鵜飼裁判長「かかとでは。」
関内検事「失礼。かかとを立てて、腰を浮かせた姿勢で渡したのですね。藤井さんはどうでしたか?」
N「藤井さんは、足はほりごたつ。上体のみ横を向いていました。手の高さはテーブルより下の位置で渡しました。テーブルの真下ではありません。」
N「両手で差し出しました。茶封筒は二つ折りのまま。「これ少ないけど、足しにして下さい。」と私が言うと、藤井さんは「いつもすみません。」と受け取りました。私は「これもTさんには内緒に。」と言いました。」

山家受け渡し位置


関内検事「受け取ったお金はどうしました?」
N「Tさんが席に戻る前に、藤井さんがカバンにしまったと思います。」
N「Tさんが戻ってきたので、私は元の席に戻りました。Tさんが「何、話してたの?」と聞くので、私は「Tさんの話をしてましたよ。」と答えました。」

関内検事「山家を出たのは?」
N「午後10時10分頃、私からTさんの携帯に「選挙をお願いします。資金は私にまかせて。今日は用事があるのでおいとまします。あとは二人でよろしく。いろいろ議員に教授しておいて下さい。そして・・・」とメール送信。」
N「Tさんは、すぐメールには気づかなかったみたいで、藤井さんと政策の話をしていました。私が合図したらメールに気づきました。「あとは宜しくお願いします」とTさんに2万円を渡して山家を出ました。」

関内検事「4月26日以降は?」
N「翌朝、8時49分に私が藤井さんに「昨日はありがとうございました。協力させてもらいます。お金のことを・・・」とメール送信。」
N「4月26日、H・Yから50万円振り込みを確認。」
関内検事「市長選挙への協力は?」
N「Tさんを市長選の応援に派遣。活動費十数万円と宿泊施設は私が負担しました。」

関内検事「市長選挙中も浄水プラントの件は進行していましたか?」
N「5月20日に美濃加茂市の担当者会議があり、K課長より「6月中旬プロポーザル方式の入札になる。」と知らされ、私が「もっと早くできないか。」と訊くと、「社会実験なら早い。」ということでしたので、社会実験からレンタル契約にこぎつけるつもりで、市当局にお願いしました。」
N「N中の校長は「夏休みが終わったら撤去して欲しい」と反対していました。私から藤井さんにお願いし、藤井さんとK課長が校長を説得してくれました。7月30日、水源と美濃加茂市で確認書を交わしました。」

関内検事「設置現場は見に行きましたか?」
N「8月お盆過ぎ、太陽光発電の業者H・Tと浄水プラントの現場打ち合わせに行きました。H・Tは私と十数年来の知人で友人です。現場で「お前、すげえな。」と言われ、「渡すもん渡したしな。」と言いました。」
関内検事「H・Tにはいくら渡したかまで話しましたか?」
鵜飼裁判長「いま現金の話はしていません。その質問は前提を欠くものと考えます。」

関内検事「プラント設置後、お金を渡すことを考えましたか?」
N「しませんでした。資金繰りの問題とレンタル契約決まった後ででも、お金を渡しに行ったらいいかなあと考えていました。」

関内検事「市長選後はどうでしたか?」
N「市長選後まもなく藤井さんから「僕とNさんは良い癒着ですよね」と口頭で言われました。」
N「私は、平成26年2月6日、三井住友銀行への詐欺容疑で逮捕されました。3月5日、十六銀行への詐欺でも再逮捕されました。3月11日に、この裁判のワイロの話を刑事さんに話し始めました。」

関内検事「なぜ逮捕されてすぐ話さなかったのですか?」
N「ばれたら重くなると思っていました。藤井さんには感謝していますし、マスコミが騒いだら、家族に迷惑がかかると思っていました。私の家族、母、妹、元妻、娘に迷惑をかけたくないと思っていました。」
関内検事「奥さんと離婚したのは?」
N「暴力団の借金取立てから逃れるため、妻と娘を守るため、離婚しました。」

関内検事「どうしてこの件、賄賂の件を自白する気になったのですか?」
N「刑事さんから「やってしまったことは消せない。全部話してゼロになって帰ろう。」と言われ、一大決心して話すことにしました。」
関内検事「なぜ、そう決心したのですか?」
(証人沈黙。1分くらい。)
N「すべて話して償いたい。ゼロになって、一日も早く社会復帰したいと。実家の介護の手伝いをして償いたい。」
(証人しばしば沈黙。途中から涙声。)
N「留置場にいた時、判決出た後、また裁判された人がいると聞いたので、この際、全部話してしまおうと。」
N「刑事さんから「娘に「うそつき父ちゃん」と呼ばれるぞ。」とも言われました。」
N「刑事さんに「Tのことはもう話したから、他にはないのか。」と訊かれ、自問自答を繰り返して、全部話して反省しないと。」

関内検事「詐欺事件の起訴を減らすと持ちかけられたことは?」
N「ありません。」



傍聴雑感

事前報道では証人Nは贈賄を自白した業者と聞いていたので、勝手に油ギッシュでガツガツした人物を想像していましたが、背が高く健康的な感じで、どこそこの銀行に何万円と日時や金額をすらすらと証言する話しぶりから理知的な印象を受けました。
入廷時は直立不動で傍聴席から見てもガチガチに緊張していて棒人形のようでした。基本的に、検察官の質問に対して、間を置かずに「はい、そうです。」とよどみなく答えていました。尋問の最後、自白の経緯について問われ、家族のことに言及した時、はじめて言葉に詰まって、下を向いてうつむいて、涙声になっていました。

あと、開廷前にうっかり見てはいけないものを見てしまった気がします。

どの席に座ろうかと考えていると、席上に「予定稿」と書かれた紙が放置してあるのが目に入りました。私は視力だけは良いので、つい内容を読んでしまいました。

右端に「No.1/3」「*予定稿*」「項目名 美濃加茂市長贈収賄事件証人尋問(検察側)」とタイトルが書かれた紙は、A4縦書きで「田」の字型に四分割され、大きな文字で芝居の台本のようになっていました。

四分割の中には、

   N被告(予定稿では実名)「これ足しにして下さい。」

   藤井被告「いつもすみません。」

   N被告「はい。渡しました。」

などと、これから証人に立つ予定の人が言う台詞が書かれていました。

左上には囲み文字で「取材原稿」とあり、欄外の下側には、

  「CBC 中部日本放送」「送稿者 原誠」

とありました。

ちなみに、私はその席の近くには座らなかったので、放置していたのがその人なのか、男性なのか女性なのかも分かりません。あまり憶測を書くと、風評被害が広がるのもアレなのでこの辺でやめておこうと思います。



追記


実は、この日は傍聴の抽選に外れてしまったのですが、私がしょぼくれた顔をしていたら、記者とおぼしきダンディなおじ様が傍聴券を下さいました。お名前も所属も存じ上げませんが、この場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。

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