2014年10月19日日曜日

10月16日 第5回公判 証人尋問

第5回公判 証人尋問

1人目証人H・T入廷。

早川検事「検事の早川より質問します。Nさんのことは知ってますか?」
H・T「はい。」
早川検事「藤井さんと面識は?」
H・T「ありません。」
早川検事「あなたとNさんはどんな関係ですか?」
H・T「友人です。14年前、僕の経営していた飲食店に客としてやって来て知り合いました。」

早川検事「平成20年にNさんから頼み事をされましたか?」
H・T「はい。Nさんが産婦人科の事務長とコンサルタントをやっていた時に「経理で粗相した。2000万円貸して欲しい。」と頼まれました。」
早川検事「頼まれて、あなたはどうしましたか?」
H・T「金額が大きいので、H・Yさんを紹介しました。用立ててもらおうと。」
早川検事「あなたは、NさんがH・Yさんからお金を借りたことを確かめられましたか?」
H・T「はい。NさんからH・Yさんに借りたと聞きました。」

早川検事「藤井さんのことをNさんから聞いたのはいつですか?」
H・T「市長選挙の2か月前だったと思います。」
早川検事「どんな風に話してましたか?」
H・T「Nさんが「僕の友人で、いま応援してる。市長に当選したら優遇してもらえる。」と話していました。」
早川検事「それはどういう意味だと思いましたか?」
H・T「美濃加茂市の小中学校に水源の濾過装置の設置で優遇してくれるという意味だと思ってました。」

早川検事「あなたと水源はどういう関係がありましたか?」
H・T「僕の会社に太陽光パネルの設置工事の職人を派遣して欲しいと頼まれました。」
早川検事「以前に、職人を派遣したことはありますか?」
H・T「あります。親会社のP社に派遣したことがあります。」

早川検事「水源の浄水プラントが美濃加茂市に設置されたことは知っていましたか?」
H・T「はい。水源のパンフレットに書かれていましたし、N本人からも聞きました。」
早川検事「現場を見ましたか?」
H・T「はい。去年の盆過ぎ、Nさんと一緒にN中のプールに設置されてるのを確認に行きました。この時、浄水プラントの濾過器部分はすでに設置されていました。僕は発電部分に設置する太陽光パネルの確認に行きました。」
早川検事「その時、何か会話しましたか?」
H・T「はい。僕がNさんに「よくこんな所につけれたね。」と。Nさんは「接待したし、食事にも行った。渡すもん渡したしな。」と言っていました。」
早川検事「誰に何を渡したかは言っていましたか?」
H・T「それは言ってませんでした。」

早川検事「あなたはNさんの言葉を何のことだと思いましたか?」
H・T「選挙前の話なので、藤井さんに現金を渡すことだと思いました。」
早川検事「現金はいくらくらいのことと思いましたか?」
H・T「何百万円くらいかと。普通の業者にはこんな小中学校のプールに設置できないから、それくらい渡してると思いました。」

早川検事「あとで渡したことをNさんに確認しましたか?」
H・T「しました。Nさんが現場で中学校の鍵を取って出てきた時、「30万円くらい渡した。」と言っていました。」
早川検事「それを聞いてどう思いましたか?」
H・T「少ないな、と思いました。」

早川検事「あなたは浄水プラントの設置現場の写真をスマートホンで撮りましたか?」
H・T「はい。」
早川検事「甲86号証を示します。」
(モニタに拡大写真3枚。太陽光パネルの写真1枚。プールサイドに設置済みの浄水プラントと図面を書いたホワイトボードのアングルの違う写真2枚。)

早川検事「写真はいつ撮ったものですか?」
H・T「伊藤検事には8月22日と答えました。」
早川検事「プロパティは平成25年8月22日となっていますが、自分でそれを確認して、取り調べに日時を答えたのですか?」
H・T「いいえ。プロパティのことを知らなかったので、この日に撮ったことを覚えていて、取り調べで話しました。自分から刑事さんや検事さんにスマートホンの写真を見せました。」

郷原弁護士「太陽光パネルの職人の派遣とはどういうものですか?」
H・T「請負です。パネルの設置や配線の工事をします。」
郷原弁護士「取引相手は?」
H・T「東芝やヤマダ電機です。」
郷原弁護士「設置工事は具体的にはどのように?」
H・T「親会社のP社と一緒にやります。僕の会社でやらない。親会社と一緒に手伝うという感じです。」
郷原弁護士「親会社にも水源のプラントの話はしていますか?」
H・T「しました。去年の8月の盆前、Nさんに相見積もりをとって見せました。親会社のP社の方がK社より150万円くらい安かったので、うちで工事することになりました。」
郷原弁護士「浄水プラントの濾過器部分と発電機部分を合わせて600万円ですか?P社は濾過器部分を担当してないのでは?」
H・T「いえ。全部で450万円だとNさんが言っていました。」

郷原弁護士「Nさんが言ってた「接待」とはどんな意味ですか?」
H・T「食事とか夜のお店とかでは。」
郷原弁護士「夜のお店とは?」
H・T「キャバクラとかじゃないですかね。僕は知りませんけど。」

郷原弁護士「美濃加茂市に浄水プラントが設置されることが決まったのを知ったのはいつですか?」
H・T「定かでないです。Nさんのパンフレットに書いてあったので知りました。」

郷原弁護士「あなたとNさんはどれくらい親しい友人でしたか?」
H・T「親しいと言えば親しい友人です。一緒に飲みに行く関係です。」
郷原弁護士「Nさんが逮捕されたことは知ってますか?」
H・T「知っています。銀行の詐欺で逮捕されたと。」
郷原弁護士「美濃加茂市の公印を偽造していたことも知っていましたか?」
H・T「ニュースで知りました。」

郷原弁護士「文書偽造をやりながら、一方で水源のプラントが順調に進んでいるように見せかけて、あなたに太陽光パネルの設置工事を頼んだわけですが、Nさんはあなたを騙していたとは思いませんか?」
H・T「僕も騙された。進行してると思ってた。」
郷原弁護士「文書偽造をやっていたとは?」
H・T「まさか思っていませんでした。」
郷原弁護士「Nさんは平気でうそをつく人だと思いますか?」
H・T「阪急ホテルとか竜泉寺の件も直前まで上手くいってるとNさんは言ってた。銀行から融資とれたと聞いた。でも、噓だったから騙されたと思う。」

郷原弁護士「N中の浄水プラントの設置費用はどこが負担したか知っていますか?」
H・T「詳しく分かりません。Nさんかな。」
郷原弁護士「レンタル契約の料金について知っていましたか?水源の利益がどれだけになるか?」
H・T「Nさんから資料もらったけど、どれだけかは記憶にないです。」
郷原弁護士「Nさんから契約の見通しについて詳しく聞きましたか?」
武井検事「異議。詳しくは知らないと答えています。」
H・T「聞きました。今は資料ないので内容は詳しく分かりません。」

郷原弁護士「Nさんはあなたにいろいろ噓を言っていた?」
H・T「はい。」
郷原弁護士「美濃加茂市に浄水プラント設置する話も噓だったと思いますか?」
H・T「当時は思わなかった。藤井さんやTさんを接待してたし、普通の民間業者には行政の仕事を受注できないから。」
郷原弁護士「接待したら、必ず受注できるものだと思ってましたか?」
H・T「分かりません。」
郷原弁護士「あなたはNさんを信用してましたか?」
H・T「事業の内容は信用してました。浄水器はいいものだと。」
郷原弁護士「Nさんを人物として信用してましたか?」
H・T「半分半分。くだらない噓はつくけど、ちゃんとしたこと、大きなことでは噓をつきません、僕には。」
郷原弁護士「くだらない噓とは?」
H・T「お金を返す時に、日時をごまかしたりはしません。でも、1万円足りないとかはありました。」

郷原弁護士「病院の「経理で粗相した」とは何のことか知っていましたか?」
H・T「この時は、知りませんでした。警察から横領をやったと聞きました。」
郷原弁護士「なぜNさんに2000万円を貸しましたか?」
H・T「担保と保証人になってくれる人がいたので、2000万円貸しました。」
郷原弁護士「Nさん自身がキャバクラに金使ってたことは知っていましたか?」
H・T「はい。知っていました。」
郷原弁護士「病院の金を使い込みをしていたことは?」
H・T「分かりません。」

郷原弁護士「美濃加茂市に浄水器を設置する話自体が噓だと思いませんでしたか?」
武井検事「異議。重複します。」
関内検事「異議。契約の詳細は知らないので誤導だと思います。」
伊藤検事「異議。今のことか当時の認識か特定されていません。」
郷原弁護士「どれくらいの仕事を受注するなら何百万円いると思いますか?」
H・T「美濃加茂市の発注する工事全体なら見合うと思います。」
郷原弁護士「N中の浄水プラント1件だったらお金を贈るまでもないと思いませんか?」
H・T「Nさんが「ここを始めに、いずれ、徐々に設置ができていく。」と言ってたので、その必要もあったかなと。」
郷原弁護士「Nさんから市当局と話ついていると聞いたりしませんでしたか?」
H・T「市と契約を受注する環境づくりで、接待が必要と思いました。」
郷原弁護士「Nさんから具体的な話がいってると聞きましたか?」
H・T「聞いていません。Nさんが「僕は市長と仲良い。」と言っていました。」

郷原弁護士「あなたはH・Yさんと貸借関係はありますか?」
H・T「7,8年前に正村商会の孫に騙されて、H・Yさんに保証人になってもらいました。その後、H・Yさんに毎月返済していました。」

郷原弁護士「設置現場でNさんと「渡すもん渡した。」という会話をしたことを最初に話したのは誰ですか?」
伊藤検事「異議。誤導です。」
H・T「覚えてないです。」
郷原弁護士「でも、あなたがこの言葉を聞いていなかったら、そもそも証人に呼ばれないのでは?誰に話しましたか?」
H・T「覚えてません。H・Yさんに話したかもしれません。」

郷原弁護士「警察の取り調べにはこの言葉のことは聞かれましたか?」
H・T「聞かれなかったです。検事さんには聞かれました。僕とNさんとの金銭関係を聞かれて、詐欺のことと思っていました。」
郷原弁護士「検察官の最初の質問は何を聞かれましたか?」
H・T「Nさんとの出会いから聞かれました。」
郷原弁護士「「渡すもん渡した。」という言葉はどっちから言いましたか?」
H・T「僕から話しました。」
郷原弁護士「どんな質問で?」
H・T「Nさんと藤井さんとの関係で、その流れで。」
郷原弁護士「検察官から、こんなこと言われなかったか、とは聞かれてない?」
H・T「言われてないです。」

鵜飼裁判長「8月22日に現場を確認しに行ったというのは、具体的には何を確認しに行ったのですか?」
H・T「こういう機械が本当に小学校に設置できるかということと、パンフレットに書かれてるのと現場に設置されてる機械が違ってて、取り付け工事の仕方が変わってくるので。」
鵜飼裁判長「あなたが浄水プラントの設置で担当していたのは?」
H・T「太陽光パネルの設置工事です。太陽光の発電機部分と濾過器の浄水器部分は別個で、職人も別々に派遣していました。」
鵜飼裁判長「病院の件以降、Nさんと貸し借りはありましたか?」
H・T「今年2月逮捕の2日前に貸しました。去年の夏過ぎから急に借金の申し込みがありました。50万円とか。詳しく理由は聞いていません。」
鵜飼裁判長「いま全体でどれくらい貸していますか?」
H・T「いま300万円くらい残ってます。」

証人H・T退廷。休憩。

再開。
2人目証人H・Y入廷。

武井検事「検事の武井より。Nさんのことは知っていますか?」
H・Y「はい。」
武井検事「藤井さんと面識は?」
H・Y「ありません。」
武井検事「Nさんと知り合ったきっかけは?」
H・Y「地元の先輩のH・Tさんの飲食店で働いていた時、お客さんで来ていました。13,14年前です。」

武井検事「Nさんから藤井さんのことで何か頼まれましたか?」
H・Y「藤井さんにお金を渡したいから50万円貸して欲しいと頼まれました。」
武井検事「藤井さんのことを知ったのはいつですか?」
H・Y「平成25年2月下旬から3月上旬です。美濃加茂の市会議員だと。」
武井検事「藤井さんの評判はどうでしたか?」
H・Y「Nさんから積極的に取り組む姿勢の強い議員がいると聞きました。Nさんから美濃加茂市の小中学校に浄水プラントの設置をお願いしていると。」

武井検事「Nさんからお金を貸してと頼まれたことは?」
H・Y「平成25年3月下旬から4月上旬、「藤井さんに恩を売っておきたいから、お金貸して。」と頼まれました。」
武井検事「その依頼はどうしましたか?」
H・Y「その時は「やめておきましょう。」と断りました。」
武井検事「どうして断ったのですか?」
H・Y「名古屋の市民病院の件で300万円貸したのに、失敗したので、やめておこうと。」
武井検事「それはNさんに直接貸したのですか?」
H・Y「いいえ。現金はTさんに渡しました。平成23年11月末のことです。」
武井検事「そのあとは何かありましたか?」
H・Y「その後も何度か貸してくれと頼まれました。その都度、断っていました。」
武井検事「お金を貸すことになった時のやりとりは?」
H・Y「平成25年4月下旬、電話でNさんから50万円貸してと頼まれました。「藤井さんが前市長の後継候補として出る。当選間違いないから、お金を渡して恩を売っておきたい。時間もないので早く。」と、熱意たっぷりに言われました。」
武井検事「それに対してあなたはどう答えましたか?」
H・Y「「お預かりさせて下さい。」と答えました。」
武井検事「それはどういう意味ですか?」
H・Y「お金を用意できるか、いったん預かりさせて欲しいという意味です。」
武井検事「あなたは何を考えていたのですか?」
H・Y「50万円渡すことで、水源のプラントにプラスになればという思いとNさんの熱意が本気なんだと思いました。」
武井検事「他にはないですか?」
H・Y「・・・」
武井検事「その日、50万円を貸す約束をしたのですか?」
H・Y「いいえ。その翌日に貸すと約束しました。Nさんは「ありがとう。助かる。」と。」
武井検事「実際にお金を渡したのは?」
H・Y「当日もしくは翌日です。自宅にあった現金50万円をNさんに直接手渡しました。」
武井検事「藤井さんに渡ったかは聞きましたか?」
H・Y「数日後、Nさんからメールで「ありがとう。渡した。」と連絡がありました。」

郷原弁護士「水源とあなたの立場はどんな関係でしたか?」
H・Y「発起人です。それ以外はないです。」
郷原弁護士「なぜ発起人になったのですか?」
H・Y「事業の説明を受けて魅力的に感じて、資本金を出しました。一時的な約束で。」
郷原弁護士「一時的とは?」
H・Y「資本金の分はあとで返してもらいました。」
郷原弁護士「ということは、見せ金ですか?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「あなたは水源の株主でしたか?」
H・Y「ではありません。」
郷原弁護士「水源の役員になっていましたか?」
H・Y「なっていません。」
郷原弁護士「あなたとNさんの事業の利益との関わりはどの程度でしたか?」
H・Y「Nさんが儲かれば、共通の趣味の自動車とかで事業ができるかなと思っていました。」
郷原弁護士「これをすればあなたに直接利益が行くというものはありませんでしたか?」
H・Y「そういう話はなかったです。」

郷原弁護士「あなたとNさんは貸借関係にありましたが、水源の事業がうまくいくのはあなたにとってそんなに大事なことでしたか?」
H・Y「そうでした。友人でもありますけど、上手くいけばまあ知人としてはうれしいと思っていました。」
郷原弁護士「美濃加茂市の事業が失敗したら、貸した金が回収できないと心配しましたか?」
H・Y「いや、美濃加茂でできなくても、他のところで上手くいけば回収できると思っていました。深くは考えていませんでした。」
郷原弁護士「Nさんの事件が起きた時にあなたも家宅捜索を受けましたね。普段は自宅にどれくらい現金を持っていますか?」
H・Y「300万円から400万円は持っています。」
郷原弁護士「家宅捜索時に押収された現金は?」
H・Y「4000万円です。」
郷原弁護士「どうしてそんなに持っていたのですか?」
H・Y「自宅の購入資金として持っていました。」

郷原弁護士「あなたの経営してるR社の事業内容は?」
H・Y「不動産管理業です。」

郷原弁護士「50万円くらいは自宅にある現金ですぐ貸せるのでは?」
H・Y「はい。ただ、まず協力者を求めて、協力者がいなければ自分のお金を貸すようにしていました。」
郷原弁護士「協力者というのはあなたに代わってお金を出してくれる人のことですか?」
H・Y「はい。」

郷原弁護士「あなたが贈賄の容疑で取り調べを受けたのはいつのことでしたか?」
H・Y「4月,5月くらいです。」
郷原弁護士「最初にNさんに50万円を貸したことを話したのは?」
H・Y「2月です。」
郷原弁護士「その時は、融資詐欺の被疑者としての取り調べですか?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「50万円貸したことを書面に起こしたのはいつですか?」
H・Y「1ヶ月後程度でした。」
郷原弁護士「書面の内容は?」
H・Y「警察にNさんと面識のある政治家の名前をいろいろ聞かれました。僕が金を貸す経緯もいろいろと。それで藤井さんの名前も出ました。」

郷原弁護士「その中で国会議員の話もしたということですか?」
H・Y「いえ。国会議員でなく議員です。減税日本の中村孝道名古屋市議の話もしました。」

郷原弁護士「検察官の取り調べが始まったのはいつですか?」
H・Y「7月頃です。」
郷原弁護士「7月18日に伊藤検事の取り調べを受けた?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「その時は贈賄の被疑者として取り調べを受けたのですか?黙秘権の告知を受けましたか?」
武井検事「異議。被疑者の取り調べとは何を根拠にされているのか?」
郷原弁護士「7月12日付と18日付の被疑者調書がありますが。」
早川検事「その前の7月9日から取り調べをしていますので、誤導だと思います。」
H・Y「詳しくは知りませんが、私の認識では終始、被疑者として取り調べを受けました。」

郷原弁護士「賄賂なのか合法的な政治献金なのかということは訊かれませんでしたか?」
H・Y「深く突っ込んで訊かれなかったです。」
郷原弁護士「あなたが共犯者として逮捕される可能性は?」
H・Y「あったと思います。」
郷原弁護士「政治家にお金を渡すことが違法になるかどうか考えませんでしたか?」
H・Y「不正なお金か、正当なお金かは考えませんでした。」
郷原弁護士「共犯者の責任がどうなるかということは質問しませんでしたか?」
H・Y「聞きませんでした。被疑者としてそういうことを聞くのはふさわしくないと思いましたので。」

郷原弁護士「捜査状況は気になりませんでしたか?」
H・Y「2月のNさん逮捕時から、そういう気持ちはあります。」
郷原弁護士「Nさんの融資詐欺について知っていましたか?」
H・Y「全く知りませんでした。」
郷原弁護士「融資詐欺についてあなたに責任はあると思いましたか?」
H・Y「全然知らなかったので、ニュースで知って驚きました。」

郷原弁護士「あなたは他人に現金を直接渡すのと銀行の口座に振り込むのとどっちが通常でしたか?」
H・Y「基本、現金は直接手渡しでやっていました。直接渡せない時に、口座に振り込んでいました。」
郷原弁護士「Nさんがあなたに借金を返済する時、お金をどこから持ってきたか訊いたりしましたか?」
H・Y「調達方法については聞くことも聞かないこともありました。」

郷原弁護士「Nさんが担保無しで銀行から融資を受けていたことは知っていましたか?」
H・Y「担保がないことは知っていました。受注があって、融資がもらえたと聞きました。」
郷原弁護士「工事の受注は架空ではないと思っていましたか?」
H・Y「もちろん。事業の実体はあると思っていました。」
郷原弁護士「どんな事業をやっていたか分かりますか?」
H・Y「そこまで詳細な報告は受けていません。」

郷原弁護士「Nさんが十六銀行から4000万円の融資を受けたことは知っていますか?」
H・Y「全く記憶にありません。」
郷原弁護士「6月と8月に借入したことは?」
H・Y「当時、聞いているんですけど、今は記憶にないです。」
郷原弁護士「Nさんがあなたに噓を言ってお金を借りたことは?」
H・Y「金額の噓はありました。目的の噓は言っていません。」
郷原弁護士「Nさんの言った目的をあなたの方で確かめることはしていましたか?」
H・Y「確認はしていません。」
郷原弁護士「Nさんはあなたにバレるような噓をつきましたか?」
H・Y「言っていません。」

郷原弁護士「「藤井さんに車を用意しないといけない。」という話が出た経緯は?」
H・Y「50万円を貸したのと同じ時期に、Nさんから市長の車として使うと言われました。僕が「公用車ならセンチュリーかクラウンか。」と聞くと、「いや、そんな立派なものでなくてもいい。」と言っていました。」
郷原弁護士「車種は?」
H・Y「アベンシスです。」
郷原弁護士「結局、どうしたんですか?」
H・Y「最終的にNさんの車をTさんにあげるという話になりました。Tさんが運転する車に藤井さんを乗せると聞きました。Nさんに代わりの車を用意することになりました。」
郷原弁護士「あなたとNさんで車のことでトラブルになったことは?」
H・Y「私とNさんの間ではトラブルになっていません。」

郷原弁護士「水源の資本金5000万円は見せ金だったとお認めになりましたね。見せ金は違法行為ですよね。あなたの責任は?」
H・Y「申し訳ないです。考えてません。」
郷原弁護士「なぜ水源の発起人になろうと考えたのですか?」
H・Y「東北の震災とかで浄水器が役立つことを知って、水源の事業はいけると思っていました。」

郷原弁護士「あなたが今までNさんに貸した金の記録はとっていますか?」
H・Y「全部、記録していません。Nさんと会った時にメモ書き程度と借用書を書くことがあります。」
郷原弁護士「借用書を見れば借金の全体は分かりますか?」
H・Y「すべて借用書はとっていません。他にも口頭でしたのもあります。借用書を見ればどの借金かは分かりますが。」
郷原弁護士「記憶喚起のため、弁45号証を示します。」
(モニタに数字を羅列したメモの拡大画像。)
郷原弁護士「このメモはあなたの自動車から押収されたものですが、この数字はどう読むものか教えて下さい。たとえば、ここの「3580」は?」
H・Y「3580万円のことです。万単位で記入してあります。」
郷原弁護士「この三角の記号は?」
H・Y「それは返済済みのものです。」
郷原弁護士「ここの数字は?」
H・Y「真ん中は日にちです。」
郷原弁護士「7000の下に900(27)とあるのは?」
H・Y「括弧のは利息です。900万円の利息の27万円。内訳ではないです。7000万円と900万円の借金は別個のものです。」
郷原弁護士「金利は決めていましたか?」
H・Y「金利は一定していません。元本と関係なく、金利は貸す時にその都度決めていました。」
郷原弁護士「返済期限は?」
H・Y「たとえば、6月に貸したら10月に利息25万円をつけて返すというふうでした。」
郷原弁護士「借金の合計は書かれていますか?」
H・Y「一番下の数字。1億2千万円です。」
郷原弁護士「このメモはいつ頃書いたものですか?」
H・Y「昨年の9月,10月,11月頃です。」

郷原弁護士「Nさんが「お金を貸してくれなくなった。」と言ってた時期があるんですが?」
H・Y「意図的にそうしたことがあります。僕と直接会わずに、Tくん(下の名前)・・・いや、H・Tさんが間に入って、話を聞いていたことがあります。」

郷原弁護士「いま現在Nさんの借金はいくらありますか?」
H・Y「いま現在、7000万円残っています。」
郷原弁護士「あなたからNさんに貸した理由はどんなものでしたか?」
H・Y「一つ一つは正直、覚えておりません。ただ、事業的なものが大半だったと思います。」
郷原弁護士「借入の理由を確認しましたか?」
H・Y「いえ。しませんでした。」
郷原弁護士「うその理由で借りに来てるというのは分かりませんでしたか?」
H・Y「結果的に分かりませんでした。」
郷原弁護士「水源が黒字で儲かっているとNさんが言っていたのは噓だった?」
H・Y「はい。」
郷原弁護士「融資詐欺や文書偽造をやってたことをNさんはあなたに正直に話していましたか?」
H・Y「正直、複雑な心境です。信じたいけど信じれない部分があります。」

郷原弁護士「50万円は藤井さんに渡ったと思いますか?」
H・Y「正直、渡したと思います。成果があったので。」
郷原弁護士「成果とは具体的には何ですか?」
H・Y「美濃加茂市の小中学校に浄水プラントを取り付ける第一歩になったと思います。」
郷原弁護士「実際に設置した浄水プラントの設置費用についてあなたは知っていましたか?」
H・Y「報道で知りました。美濃加茂市は負担していないと。」
郷原弁護士「それは水源にとって成果といえるものですか?」
H・Y「報道で知ったらそうです。でも、第一歩は大きいと思います。」

郷原弁護士「お金についてNさんはどう説明してましたか?」
H・Y「報道で30万円だと。10万円と20万円を渡したと。」
郷原弁護士「実際は20万円だったが、あなたには50万円と言っていた。Nさんはあなたを騙した?」
H・Y「まあ、結果として噓つかれたと思います。」
郷原弁護士「Nさんが藤井さんに渡さないこともあり得ると思いませんでしたか?」
H・Y「Nさんは渡すのはこの日しかないと言っていました。」
郷原弁護士「会食の機会に渡すと言っていたのですか?」
H・Y「市長選挙の始まる前に渡したいと言っていました。」

郷原弁護士「あなたは美濃加茂市長選挙がいつか知っていましたか?」
H・Y「知りません。」
郷原弁護士「市長選挙は6月2日でしたが、市長選が始まる前とはいつ頃のことを指していますか?」
H・Y「選挙が始まる前と言っていました。」
郷原弁護士「本当にNさんが藤井さんに20万円を渡したと思いますか?」
早川検事「異議。当時の認識か今の認識か特定しなければ誤導だと思います。」
郷原弁護士「今の認識で聞いていますが。」
H・Y「渡ったと思います。」
郷原弁護士「渡して成果があったとNさんから聞いたのですか?」
H・Y「電話でNさんから聞きました。」
郷原弁護士「取り調べでもそのことは言いましたか?」
H・Y「Nさんから「藤井さんに渡せた。ありがとう。」と感謝の電話がありました。」
郷原弁護士「ほかの話題はありましたか?」
早川検事「異議。その電話については、調書に書かれています。」
H・Y「ないと思います。記憶あいまいですけど。」

神谷弁護士「あなたは金融業をやっていますか?」
H・Y「いいえ。」
神谷弁護士「誰かにお金を貸していますか?」
H・Y「はい。Nさんにだけ貸しています。」
神谷弁護士「Nさんはあなたを「窓口」とする借金があると証言していましたが、あなたの他に金主がいるということですか?」
H・Y「金主という言葉は知りませんけど、相談する人はいました。」
神谷弁護士「借用書のある借金は全部あなた自身の資金を貸したものですか?」
H・Y「違います。協力者から預かったものもあります。」
神谷弁護士「協力者は何人いますか?」
H・Y「4,5人います。」
神谷弁護士「Nさんにお金貸す時に協力者の許可が必要でしたか?」
H・Y「もちろん。」

神谷弁護士「返済期限は?」
H・Y「決めません。すぐ返すと口頭でやってました。」
神谷弁護士「金利は?」
H・Y「定めてません。」
神谷弁護士「期限を定めないで貸したということですが、いつもどれくらいで返してもらってましたか?」
H・Y「ちょっと記憶にないです。」
神谷弁護士「F社のKという人物から1800万円を受け取りましたか?」
H・Y「あったかもしれません。」
神谷弁護士「Nさんがイオ信用組合から融資を受けていたことは?」
H・Y「知っていました。」
神谷弁護士「Nさんが融資を受けたすぐ後に、あなたにお金を払ったら、事業資金が底をつくと思いませんでしたか?」
H・Y「いえ、私が先に貸してたので、そうは思いません。」
神谷弁護士「名古屋市の300万円も、実体は事業資金でなく貸金だったのでは?」
伊藤検事「異議。誤導です。」
H・Y「名古屋の病院の件の事業内容は知っていました。結局、失敗しました。」
神谷弁護士「7000万円の借用書は、本当にこの金額の貸し付けが行われたのですか?」
H・Y「存在していました。」
神谷弁護士「この7000万円の金利は?」
H・Y「記憶にないです。」
神谷弁護士「利息制限法を超えるものでしたか?」
H・Y「ちょっと分かりません。」

武井検事「4,5回断ったが、最終的に50万円を貸すことにしたのはなぜですか?」
H・Y「Nさんの熱意が強くて本当に渡したいんだなと思って貸すことにしました。」

郷原弁護士「4,5回断ったのは、Nさんから返ってこないと思っていたからですか?」
関内検事「異議。返ってこないというのは誤導だと思います。」
H・Y「貸した金が無駄に終わるといけないと思っていました。」
郷原弁護士「あなたは水源の役員でも株主でもないから、利害関係は薄いのでは?お金が返ってくれさえすれば水源の事業内容はあまり関係ないのでは?」
H・Y「あくまでも友人として成功して欲しいと思っていました。」
郷原弁護士「すでに1億2千万円貸してたのに、50万円がどうなるか、そんなに気になったのですか?」
H・Y「仮に50万円でもお金を捨てるのは嫌なので、どうするか聞きました。」

伊藤裁判官「あなたが藤井さんに渡す50万円を貸したという話を警察にしたのはいつですか?」
H・Y「3月くらいです。Nさんに50万円貸した理由を説明する中で。」
伊藤裁判官「あなたが融資詐欺のことについて警察と話したのは?」
H・Y「2月です。」
伊藤裁判官「あなたが書いた陳述書はどこに出しましたか?」
H・Y「警察の上申書として出しました。」
伊藤裁判官「あなたを取り調べた警察官は誰か覚えていますか?」
H・Y「はい。4人いました。最初の1人目と2人目に50万円のことを話しました。」

鵜飼裁判長「Nさんに対してあなたが初めてお金を貸したのは?」
H・Y「平成18年から19年頃に2000万円貸しました。」
鵜飼裁判長「貸さなくなった時期はいつですか?」
H・Y「平成25年秋頃です。」
鵜飼裁判長「事件の前、今年に入ってからは貸していましたか?」
H・Y「はい。ただ、理由によっては貸さないこともありました。」
鵜飼裁判長「貸す時はいつも目的を聞いていましたか?」
H・Y「はい。使用用途が気になるので。」
鵜飼裁判長「貸さないのはどういう場合でしたか?」
H・Y「道楽や飲み代に使う時ですね。まあ、飲み代くらいは正直に言えば許しますが。」
鵜飼裁判長「協力者というのはどんな人ですか?」
H・Y「今まで私がお世話になった人です。」
鵜飼裁判長「協力者を求めるとは、他人を仲介して貸すということですか?」
H・Y「はい。目的を聞いて自分では貸せないと判断した時に、協力者にお世話になってました。」
鵜飼裁判長「名古屋市の件の成否は誰から確認しましたか?」
H・Y「Nさんから説明がありました。」

鵜飼裁判長「4月以前にあなたがNさんの依頼を断った時のNさんとのやりとりは?」
H・Y「同じです。「藤井さんにお金渡したい。」と言っていました。」
鵜飼裁判長「「藤井さんにお金を渡す」とはっきり説明したのですか?」
H・Y「はい。「いま藤井さんに浄水プラントを働きかけているから、恩を売りたい。お金を渡したい。」とはっきり言ってました。」
鵜飼裁判長「4月25日にあなたが貸すというやりとりをした時に反対はしましたか?」
H・Y「反対はしました。ただ、Nさんの本当に渡したい気持ちを理解して貸すことにしました。」
鵜飼裁判長「市長選後にNさんから連絡はありましたか?」
H・Y「ありました。電話で「Y(下の名前呼び捨て)、ありがとな。」と連絡がありました。」
鵜飼裁判長「その日時はいつですか?」
H・Y「日にちは覚えていません。」
鵜飼裁判長「他にNさんから「お金を渡したい」と言われたことは?」
H・Y「それ以降はありませんでした。」

証人尋問終了。

傍聴雑感
この日の証人は2人とも贈賄者とされるNの背景事情に関するもので、本題ではありませんでした。この日は抽選なしで入れました。1人目の証人H・Tは普通に太陽光の工事業者っぽい人でした。2人目の証人H・Yは大金の貸主なのにあまり偉そうな感じではなく、言葉を慎重に選んで話している感じでした。この証人も日時や金額をパッと答えるので、ずいぶん理知的な人物と思いました。

この日は検察官の配置が前列と後列が入れ替わっていました。今まで法廷で一切口を開かなかった3人目の早川検事がこの日初めて質問に立ってしゃべっていました。

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