2014年10月14日火曜日

10月8日 第4回公判 証人尋問

第4回公判 証人尋問

1人目証人TN入廷。

伊藤検事「では、検事の伊藤から質問させていただきます。緊張されていますか?」
証人TN「いいえ。」
伊藤検事「あなたは、山家住吉店の店長でいらっしゃいますね?」
TN「はい。」
伊藤検事「平成25年4月当時はどうでしたか?」
TN「その時は店長代行でした。11年前にパートで働き、6年前に正社員。数年前に店長代行、今年から店長です。」
伊藤検事「Nさんは店に来店しましたか?」
TN「はい。栄の別の店からの紹介で来られました。」
伊藤検事「初めて来店したのは平成25年1月から2月頃でしたか?」
TN「はい。それから7,8回ご来店されました。」
伊藤検事「Nさんの印象は?」
TN「背が高く、笑顔の印象が残っています。好印象を持っていました。」
伊藤検事「接客で何か気をつけていましたか?」
TN「はい。紹介で来られたので、気をつけていました。お席を必ずとることや、ご挨拶をすることに気を配っていました。」
伊藤検事「Nさんは誰か連れて来られましたか?」
TN「はい。Tさんと藤井さんで来られました。」
伊藤検事「当時、Tさんのことは知っていましたか?」
TN「いえ。何度か見えていたので、お顔は拝見していたのですが、お名前は知りませんでした。あとで警察の取り調べを受けた時に知りました。」
伊藤検事「Tさんや藤井さんはよく来られていましたか?」
TN「TさんとNさんのお二人はよくお見えになっていました。藤井さんも市長選挙の時に見えられていました。」
伊藤検事「Tさんは、どういう人物と思いましたか?」
TN「ちょっと、うちに来られるお客様とは客層が違うと思いました。山家はサラリーマンの店でして、Tさんは少し格好が変わっていました。たまにクレームを頂いたり、スリッパのままで出歩いたり、顔は無精ひげで、変わっていると思いました。」
伊藤検事「あなたの山家での仕事は?」
TN「接客全般を担当していました。特にどこの席担当というのではなく、指示を出したり、お席を回って、自分でも料理やドリンクを運んでいました。」
伊藤検事「供述明確化のため、甲105号証の見取り図を示します。」
(モニタに山家住吉店見取り図。)
TN「カウンターのここにドリンク。ここに料理を置いていました。運ぶ時は中央から通路を通って運んでいました。」
伊藤検事「44番席はどこですか?」
TN「ここです。南東の方角です。」
伊藤検事「トイレは?」
TN「入口の近くのここです。」



伊藤検事「ホールの人数は?」
TN「私を入れて8人。運ぶのは4人でした。」

伊藤検事「Tさんが席を外したことはありましたか?」
TN「はい。2,3度ありました。Tさんが出入口から出る時、私が避けたことがありましたので。」
伊藤検事「どちらの方向に避けましたか?」
TN「Tさんの進行方向です。すれ違うと、挨拶とか、話をしないといけないので、避けていました。正直、苦手なタイプであまり話をしたくないと思っていました。」

伊藤検事「お客さんがトイレに行くときは?」
TN「入口の方に行っていました。」
伊藤検事「携帯電話はどこでかけていましたか?」
TN「入口から出て、ビルの階段のところでかけていました。」

伊藤検事「平成25年4月25日、Nさん、Tさん、藤井さんは3人で来ていましたか?」
TN「はい。」
伊藤検事「あなたもその時いましたか?」
TN「はい。」
伊藤検事「藤井さんはこの時、初めて来店しましたか?」
TN「はい。先にNさんとTさんで来られて、後から来られました。」
伊藤検事「どうして、順番が分かりましたか?」
TN「当時、キャンペーン中でして、私からNさんとTさんにセリの一本揚げをおすすめしました。そうしたら、「後からもう1人来るので、あとで注文する。」と言われましたので、いったん戻ってから、2回目の注文を取りに行った覚えがあります。」
伊藤検事「セリの一本揚げは注文しましたか?」
TN「はい。ほかの注文と一緒にされていました。」

伊藤検事「3人の座った位置は?」
TN「藤井さんが上座に座られて、TさんとNさんが反対側に。Tさんは藤井さんと向かい側でした。」
伊藤検事「当日の客の入りは?」
TN「8割くらい埋まっていました。」
伊藤検事「3人には気を配っていました?」
TN「はい。」
伊藤検事「どうして気を配っていましたか?」
TN「Nさんに「今度、藤井さんが市長選挙に出る。僕が全面的にバックアップするので、宜しく。」と藤井さんを紹介されたので、そうした方が来店されることはあまりないので、よく覚えていたのと、席の様子に気を配っていました。」
伊藤検事「誰か席を外したということはありましたか?」
TN「ありました。はっきりとは覚えていませんが、白いお二人が見えたような気がします。お客さんの席との間を通る時に、そんなことがあったように思います。」
伊藤検事「どこから見えましたか?」
TN「固定した位置から止まって見ていません。接客で動いている時にそう見えました。」
伊藤検事「はっきり覚えていますか?」
TN「はっきりとは申し上げられません。」

郷原弁護士「Tさんに良い印象を持っていなかったのは、なぜですか?」
TN「ちょっと普通のお客さんとかけ離れた感じがするというか、言葉は悪いですが、ペテン師とか、詐欺師のような風体をしてると思いました。あと、クレームがありました。居酒屋を経営されてるということで、お酒とかほこりのクレームが何度かありまして、「こんな店はダメだ。」と言われたこともありますので、私は苦手でした。」
郷原弁護士「Tさんの写真を見たのはいつ?」
TN「この事件の後です。警察の方から写真を見せられました。」
郷原弁護士「その前から人相は覚えていましたか?警察から特に人相の悪い写真を見せられたことはないですか?」
TN「覚えていました。以前と印象は同じです。」
郷原弁護士「白い二人が見えたということについて詳しくお聞きしたい。どこで、どんな風に見えましたか?」
TN「どこでというのでなく、接客で動き回っている中で見た記憶があります。」
郷原弁護士「何かこう、具体的なイメージ、映像として覚えていないですか?」
TN「白い服装の人が二人、見たイメージはあります。通る時に必ず見える席にいましたので。」

郷原弁護士「お店の現場検証の時にも確認しましたけど、店内の席の見通しはどうでしょうか。例えば、カウンターのレジの位置から44番のTさんのいた座席は見えますでしょうか?」
TN「レジのところからは44番席は見えません。」
郷原弁護士「あなたは店内でいつもいる定位置はありましたか?」
TN「常によくいる位置はないです。」

郷原弁護士「店のトイレの履き物は?」
TN「ぞうりです。」
郷原弁護士「入口の外の階段のところは、静かでしたか?」
TN「平成26年4月からBGMを流すようになりました。それ以前は静かでした。」
郷原弁護士「当時、Tさんの履き物は?靴?ぞうり?」
TN「ぞうりでした。」
郷原弁護士「平成25年2月にTさんがNさんと二人で来店した時のTさんの履き物は?この時もスリッパ?」
TN「スリッパだったと思います。」
郷原弁護士「その時の服装は?」
TN「カジュアルな格好をされていました。」
郷原弁護士「色は?」
TN「覚えていません。」

神谷弁護士「白い二人が見えた時、二人の顔を確認しましたか?」
TN「確認していません。」
神谷弁護士「Tさんが入口の外にいるのを確認しましたか?」
TN「確認はしていません。」

郷原弁護士「事情聴取のことを伺いたいんですけど、警察の方から、「その日、2人いた。誰と誰だ?」という風な訊き方はされませんでしたか?」
TN「いえ、そういう話はしていません。」
郷原弁護士「警察に「何でも良いから話してくれ。」と頼まれたりしませんでしたか?」
関内検事「異議。誤導です。」
TN「当日のお店のジャーナルやタイムカードに私の記録がないので、最初、警察の方は私がその日出勤していないと思って質問されていたので、この日来てたお客さんが誰かという話はしませんでした。」
郷原弁護士「警察が調書を取る最後の平成26年4月25日に「実は2人いた。知ってるか?」という訊き方をされて、話したということはないですか?」
TN「いえ、取り調べの最後の方に、私の方からこの席に3人座っていたと話したら、警察の方が「なんで知ってる?」と聞き返すので、「私、出勤してました。」と言って、その日、休んでいないことを分かってもらいました。」
郷原弁護士「その日あなたがお店にいない前提で話したものを、いる前提のものとして話を進めたということはないですか?」
伊藤検事「異議。証人が説明していないかのように質問するのは誤導です。」
鵜飼裁判長「意見でなく、答えなかった理由を質問して下さい。」
郷原弁護士「どうしてこの日まで客の人数を話さなかったのですか?」
TN「一般的に警察の事情聴取は受けたくないのと、Tさんのことが苦手なのであまり話したくないと思っていたからです。」

伊藤検事「平成25年4月25日の出勤表にあなたの記録がなかったのはなぜですか?」
TN「その日は豊橋の本社で、決起大会があり、店長代行の私もそれに出席していました。私は大会を午後3時に切り上げて、名古屋に戻ってそのまま店に出勤したので、タイムカードを押していませんでした。」

伊藤裁判官「警察の取り調べで、3人いるという話をしたのは4月25日だけですか?」
TN「はい。」
伊藤裁判官「席の担当というのは決まっていましたか?」
TN「うちでは決まっていないです。」
伊藤裁判官「接客時間中にお客さんの様子はどう確認していましたか?」
TN「おかわりの注文がある時とか、空席の状況を見回って確認します。暇な時はよく分かります。忙しい時は分からないことがあります。」

鵜飼裁判長「あなたに対して警察が事情聴取したのはいつ頃ですか?」
TN「Nさんの事件が起きてからです。今年の春の3月から4月にかけてです。」
鵜飼裁判長「すぐこの事件のことだと分かりましたか?」
TN「いえ、最初、Nさんの事件のことだと思っていました。突然、去年の4月25日の出勤簿見せられて、なんでNさんのことなのに、他の人のこと訊くのかなあ、と思いました。」
鵜飼裁判長「Tさんがいるかいないか訊かれたのは取り調べの最後の回だけですか?」
TN「はい、最後の回の事情聴取だけでした。」
鵜飼裁判長「1年前にこの3人で来られたという記憶はどの程度、鮮明ですか?」
TN「強く印象に残っていました。特に市長選に出られるという話を聞いていたので。
鵜飼裁判長「警察官からの質問の仕方ですが、「4月25日にT、N、藤井」と名指しで訊かれたのか、「4月25日に3人」という訊き方で訊かれたのか、どちらですか?」
TN「「3人」でと訊かれ、「Nさんと一緒に3人で来た。」と答えました。ノートの控えを見て、一緒に来ていた人を思い出し、そう言えば藤井さんも来てたことを思い出しました。」
鵜飼裁判長「Nさんが藤井さん以外と3人で来店することはありましたか?」
TN「ありました。」
鵜飼裁判長「Nさん、Tさん、藤井さんの3人の組み合わせで来たことはずっと?」
TN「覚えていました。」

伊藤検事「この事件の日以降、Nさんと藤井さんが山家住吉店に来ることはありましたか?」
TN「ありました。平成25年11月、藤井さんが先に見えて、市長の名刺を交換したのを覚えています。その後、Nさんが来られて、挨拶しました。」

郷原弁護士「Nさんと藤井さんの2人組で来た時とNさん、藤井さん、Tさんの3人組で来店した時のことは、ちゃんと区別できますか?」
TN「区別できます。2人で来られる時は、44番とは逆の席の41番席に着席されるからです。44番はカウンターから右の方。41番はカウンターから左の方にあります。」
郷原弁護士「44番席かどうやって確認?」
TN「右の方へドリンク取りに行った時に、確認できます。」
郷原弁護士「41番席は?」
TN「取りに行く回数が少ないので、それで分かります。」

伊藤裁判官「平成25年11月に来店した時は、藤井さんとNさんの2人だけでしたか?」
TN「Nさんが予約を入れられていたので、記憶しています。ネットで藤井浩人さんの名前を検索したら、あの市長のことだと分かりました。」


証人TN退廷。休憩。

再開。

2人目証人T入廷。

郷原弁護士「あなたの職業は?」
T「名古屋市議の秘書です。」
郷原弁護士「平成25年4月当時は?」
T「その時は秘書ではありませんでした。」
郷原弁護士「中村孝道市議の秘書はいつから?」
T「去年8月からです。その前は済藤美咲市議の政策審議官でした。」
郷原弁護士「では、調書の記載は間違っている?」
T「はい。正確ではありません。」

郷原弁護士「調書の初めと後で記述が違っていますが、どのように取り調べに答えましたか?」
T「私は違うようには言っていません。一貫して同じことを答えています。」
郷原弁護士「あなたは同じように言ったが、警察官が調書を取る段階で書き方が違っていたと?」
関内検事「異議。署名のない調書を根拠にすべきではありません。」

郷原弁護士「あなたはインターネットの署名サイトで「おれがシロと言うんだからシロだ。」というコメントをしましたか?」
T「はい。」
郷原弁護士「それはなぜですか?」
T「ネット署名のことは検察官にも訊かれました。私自身、何度も警察、検察に呼び出しを受け、不当な捜査と感じるところもあり、公平のため、申し上げることは申し上げておこうと。ただ、私自身も感情がありますので、ネットはガス抜きのつもりでコメントしました。」
郷原弁護士「インターネットの番組に出演する前に事前に検察官に了解を求めましたか?」
T「はい。出てもいいかということを検察官に訊きました。そこに座っておられる伊藤検事に電話で訊きました。」

郷原弁護士「本題ですが、4月2日のガスト、4月25日山家住吉店で同席しておられた。この状況で考えられる途中で席を外す可能性とは?」
T「携帯電話か、トイレか。ガストならドリンクバーに行く可能性もあります。」
郷原弁護士「あなたが3人で食事に行ってる時に、トイレに行く可能性は?」
T「ないと思います。」
郷原弁護士「どうしてそう言えますか?」
T「僕はトイレに行かないタイプです。どうしてそうなのか考えてみて、最近分かったことですが、僕は誰かと会う約束をする時は誰かと会う前に事前にトイレに行く習慣があることに気づきました。また、せっかく時間を作ってくれたのに、中座したら相手に失礼なので、トイレに行きません。」

郷原弁護士「あなたの1日のトイレの回数はどれくらいですか?」
T「1日に2,3回です。」
郷原弁護士「飲み会ではトイレに行きますか?」
T「行きません。友人の間でもよく話題になります。」
郷原弁護士「伊藤検事との取り調べ中はトイレに行ったり、行かせてくれと頼んだことがありましたか?」
T「行きませんでした。頼んだこともありません。」

郷原弁護士「携帯電話をかけに中座したことはありますか?」
T「ありません。藤井君は時間ないので、電話がかかってきても取りません。相手に失礼なのと貴重な時間を使いたいから、携帯で中座はしません。もし、かかってきても、後でかけ直すことにしているので、人と話す時は携帯を取りません。」

郷原弁護士「あなたが他人のドリンクを取りに行くことは?」
T「ありません。」
郷原弁護士「藤井さんとは別の人とも?」
T「ありません。僕は媚びを売る人間ではないので、他人のドリンクを取りに行くことはありませんし、自分のドリンクを他人に取りに行かせることもしません。目上はともかく、ドリンクバー程度で媚びを売るような真似はしません。そもそも、藤井君もNさんも僕が媚びを売るような相手ではありません。」
郷原弁護士「藤井さんとNさんのために取りに行くということは?」
T「絶対にありません。」

郷原弁護士「今まであなたが山家住吉店に行った回数は何回?」
T「5,6回だと思います。」
郷原弁護士「山家住吉店のトイレの場所は知っていますか?」
T「最近、知りました。先月、サンデー毎日の取材を受けた時に、記者と一緒にこの店に行って、女性従業員に場所を訊きました。自分では行ってないので、トイレの中は知りません。」
郷原弁護士「警察の最初の取り調べにはどう答えましたか?」
T「僕はトイレの場所を知らないと答えました。」
郷原弁護士「甲105号証の現場見取り図を示します。」
(モニタに山家住吉店の見取り図。)
郷原弁護士「一般的に居酒屋のトイレはどこにあるものですか?」
T「条件がありまして、一つは混雑をしないところ。二つ目は、水回りの近く。」
郷原弁護士「山家住吉店のトイレの場所は?」
T「サンデー毎日の記者とお店に行く前に見取り図だけを見て当てっこをしたのですが、僕が推測した推測した位置と実際の位置が違っていました。」
郷原弁護士「どう違っていたのですか?」
T「先ほど言った条件。まず、混雑しないということで、入口の近くにはない。もう一つは、水回りの周辺ということで、山家だと洗い場の周辺だと見当をつけました。実際は、入口の近くだったので驚きました。」
郷原弁護士「では、その位置をマルで示してもらえますか?実際のトイレの位置はバツで。」
T「僕が推測したのは奥のここ。実際はここでした。」


郷原弁護士「山家の店長の印象は?」
T「もともと、Nさんが山家に常連で来ていて、僕も何回か一緒に来て、店長と話をした記憶があります。」
郷原弁護士「クレームを入れたことは?」
T「あります。何回か。僕は日本酒にはうるさいタイプでして、ぬる燗で頼んだ酒が「熱い。」というクレームを入れたことがあります。ほとんどの居酒屋は、40度をぬる燗としているところが多いのですが、これは熱過ぎます。本当のぬる燗は38度が適温です。電子レンジで温める秒数もキッチリ決まっています。」
郷原弁護士「その話は検察官にはしましたか?」
T「伊藤検事に言ったかどうか覚えていません。」

郷原弁護士「山家で席を外しましたか?」
T「私は一貫して席を外していないと言っています。」
郷原弁護士「トイレで席を外すことは?」
T「外す理由がありません。根拠はさっき言った、僕がトイレにめったに行かないことと人と会う前に事前に済ませていることが多いからです。」
郷原弁護士「携帯電話で席を外したことは?」
T「ありません。緊急の用はなかったことと藤井さんと会う時間は貴重なので、かかってきても取らないからです。」
郷原弁護士「山家住吉店の店の構造は電話しやすいですか?」
T「電話しにくい構造でした。座敷は小上がりになってるのと中央のテーブル席は客が多くて、そこを通過して、わざわざ電話するために店の外に出るのは面倒だからです。」
郷原弁護士「山家に行った時の履き物はどうでしたか?」
T「まだ寒かったのでスーツを穿いてたと記憶しています。足はジーンズにあうショートブーツです。ちょうど今履いているような。」
郷原弁護士「スリッパを履いたことはありませんでしたか?」
T「履いた記憶はないです。まだ寒かったですし、衛生面もあるので、履かないです。」

郷原弁護士「検察官の1回目の取り調べがあったのはいつですか?」
T「警察の取り調べの2日後の6月26日です。」
郷原弁護士「その時の調書の書き方はどうでしたか?」
T「僕の言ったことをその通り取ってくれたと思います。」
郷原弁護士「その内容は?」
T「「Nが「藤井に渡した。」と言っているが、私は見ていない。仮にそうとすれば、私が席を外した時しかありません。」と書いてくれました。「仮に」というのは、そこにいる伊藤検事からそう書いておきましょうかと提案され、その書き方で了承しました。」

郷原弁護士「では、7月24日の調書で「なるべく中座しない観点から考えると」というのは覚えていますか?」
T「覚えていません。」
鵜飼裁判長「いま主尋問なので、訊き方に注意してもらえますか。」
郷原弁護士「どうしてこんな表現に?」
T「あくまで理由を論理的に説明しようとして、「観点から」と一般論で答えていたからその表現になったと思います。」
郷原弁護士「検察官に対しても、そういう言い方で話していましたか?」
T「僕は中座してまで電話に出ない、という趣旨を申し上げました。」


関内検事「平成25年4月当時の仕事は?」
T「正式には無職でした。主に貯えで生活していました。時々、日雇いで飲み物や生活雑貨を運ぶ仕事をして収入を得ていました。」
関内検事「あなたが居酒屋を経営していた期間は?」
T「平成15年10月から平成25年7月です。」
関内検事「居酒屋をやめたのは?」
T「トラブルがあったことと自分がやりたいことがあったのでやめました。」
関内検事「やりたいこととは?」
T「政治活動です。」

関内検事「Nさんとはどういう関係?」
T「Nさん水源の内部の仕事を手伝って欲しいと頼まれ、月15万円の約束で手伝うことにしました。ただ、振り込まれたのは最初の月だけで、あとはもらってません。」
関内検事「政策研究所の方は?」
T「政策シンクタンクは、議員が断念したので、あきらめました。」
関内検事「議員秘書のIさんはあなたの師匠ですか?」
T「いえ、当時、Iさんは秘書ではなかったです。Iさんは師匠というより、年の離れた友人です。」

関内検事「中村孝道市議と一緒に飲食に行ったことは?」
T「あります。」
関内検事「Nさんも一緒にいましたか?」
T「Nさんは一緒にいた時も、一緒でない時もありました。」
関内検事「5回は一緒に飲食しましたか?」
T「はい。」
関内検事「Nさんと2人で飲食したことは?」
T「あります。」
関内検事「飲食代はいつもNさんが負担していましたか?」
T「はい。出してもらってました。」
関内検事「当時、Nさんがお金出してくれたのですか?」
T「はい。ほかに友人からもらったのもありますし、たまにパチンコの勝った分も。」
関内検事「4月2日ガストで会食した時に席を外しましたか?」
T「外してません。」
関内検事「具体的な記憶として外していないと言えますか?」
T「はい。」
関内検事「4月25日山家住吉店で会食した時に席を外しましたか?」
T「外してません。」
関内検事「具体的な記憶として外していないと言えますか?」
T「はい。」

関内検事「過去の飲み会で席を外したことはありますか?」
T「滅多にないですが、友人同士の飲み会で外したことはあると思います。」
関内検事「では、絶対に席を外してないとは言えませんね?」
T「一貫して席を外していないと答えています。」
関内検事「郷原先生の供述録取書を取った時にも、そう答えていましたか?」
T「はい。」
関内検事「100%席を外していないと断言できますか?」
T「これまで警察に「絶対か?」。そちらの伊藤検事にも「絶対か?絶対に席を外していないと言うんだな?」と何回も何回も確認されました。裁判での記憶の定義は分かりませんけど、100%はないにしても、私の記憶では席を外していません。」

関内検事「郷原先生の陳述書には「1年前のことで具体的なことは」と書かれていますが、本当は覚えていなくて、後付けでそう思い込んでいるだけでは?」
T「違います。私の記憶では席を立ったことはないということです。」
関内検事「あいまいな記憶だけど、断言していることはないですか?」
T「いいえ。とにかく警察は「絶対か?」としつこかった。本当にしつこくて、体調を崩しました。何度も何度も詰問されて、そこまでは言い切れません、というので署名しました。警察は僕の記憶を潰そうという感じでしつこかった。私の記憶ではトイレに立ってないので、席を外していません。」
関内検事「それはあなたの記憶でなく、一般論で理由を説明しているだけでは?」
T「違います。記憶に基づく論理的な説明です。」

関内検事「4月2日ガストで3人で会う約束をしましたか?」
T「電話かメールかは忘れましたが、会う約束をしました。」
関内検事「調書の中では、「Nさんが渡したというなら渡したのかも。」ということを言っているが?」
T「Nさんの言葉は、そう言っていると取り調べで聞かされたので、Nさんが自分で言ってるのならそういうこともあるだろうという、同意です。」
関内検事「誰かドリンクバーに行きましたか?」
T「最初に3人でドリンクバーに取りに行きました。その後は取りに行っていません。」
関内検事「バラバラにドリンクを取りに行くこともあるのでは?」
T「あまり想定しません。あるとすれば誰かが誰かのドリンクを取りに行く時くらい。僕とNさん、藤井君はそんな関係ではありません。基本的に全員で取りに行きます。」
関内検事「Nさんから藤井さんに資料を渡しましたか?」
T「たくさんの資料を渡した場面はあるので、明確ではないですが、資料は渡したかもしれません。僕は中身を見ていないので、はっきり分かりません。」

関内検事「4月25日、山家で藤井さんが来る前に、Nさんと2人で何か話しましたか?」
T「たわいもない内容です。水源のプラントのことではありません。」
関内検事「では、藤井さんが合流した後、浄水プラントの話はしましか?」
T「プラントの話は軽くあったかもしれませんが、時間がないのでほとんどしてないと思います。」
関内検事「Nさんが退席時に「そろそろおいとまします。そして・・・」というメールを送ったことは覚えているか?」
T「記憶にないです。」
関内検事「メールの意味は何だと思うか?」
T「Nさんの水源の浄水プラントの件を忘れずに言っておいてという意味だと思います。」
関内検事「あらかじめ事前打ち合わせしていたのではないのか?」
T「違います。その場ではそんな話はしてません。」

関内検事「山家でアルコールを注文しましたか?」
T「ビールを2杯、中ジョッキで注文しました。」
関内検事「トイレに行きましたか?」
T「行ってません。」
関内検事「トイレに行きたくなる可能性は?」
T「ありません。」
関内検事「アルコールを摂取したらトイレに行きたくなるのでは?」
T「それは個人差があるのでは。」
関内検事「ビールを2杯飲んだら、トイレに行ってもおかしくないのでは?」
T「僕は行ってません。」
関内検事「でも、ビールを2杯飲んだら、行きたくなることもあるでしょう?」
T「僕は行きません。この前、ある記者と、」
関内検事「もういいです。言い訳は聞いていません。」

関内検事「事前にトイレを済ませるというのは本当ですか?」
T「子どもの時からの癖があることに、最近気づきました。」
関内検事「それは平成25年4月以降の癖ではないのですか?」
T「いいえ。」

関内検事「以前、Nさんと中村孝道市議と一緒に山家に行った時にトイレに行ったことはありますか?」
T「山家ではないと思いますね。」
関内検事「山家以外のお店で席を外したことはありますか?」
T「外したことはあります。」

関内検事「藤井さんも含め、誰かとの飲食時に席を外したことは全くないわけではありませんね?」
T「「藤井さんも含め」とは、どういう意味か分かりませんが。藤井さんといた時は外していません。藤井さん以外といる時は席を外したことはあります。」
関内検事「誰ですか?」
T「友人であったり、他の議員といる時にトイレに立ったことはあります。電話はないです。」

関内検事「山家でトイレに行ったことありませんか?」
T「ありません。そもそも僕はトイレの場所を知りません。」
関内検事「それは記憶でなく、理由を説明しているだけでは?」
T「逆です。この件が問題になった時、僕はトイレの場所を知らなかった。何で知らないのか理由を考えると、行っていないし、行こうともしていない。行ったなら覚えているはずです。」
関内検事「過去、あなたが席を外したことは?」
T「他の議員と話をするのが嫌な時、席を外したことがあります。」
関内検事「では、山家で席を外したのは単に覚えていないだけでは?」
T「違います。藤井さんと会って話す時間は貴重なので、途中で席を立つことはありません。」

関内検事「Nさんはあなたにバレないようにしていたと感じませんでしたか?」
T「知りません。Nさん本人がどう思ってるかの話なので。」
関内検事「Nさんは議員にお金を渡したと話していますが?」
T「意味がないと思います。Nさんがやっても効果ないと思います。」
関内検事「「そんな金があるなら、僕にくれ。」と言ったことはありませんか?」
T「はい。冗談で言ったことはあると思います。」

関内検事「名古屋市の件で活動費300万円をもらったなら、Nさんのお金をどう使おうと思いましたか?」
鵜飼裁判長「一般論ですか?それとも、本件のことで訊いていますか?」
関内検事「本件について、質問します。」
T「当初、名古屋の市民病院に井戸を掘る政策を作るための活動費として約300万円をもらいました。公募までいかないなら、僕は返すつもりでいました。」
関内検事「政策を作る活動とは?」
T「議員や関係者から情報を取りに行ったり、自分で調べたり、政策に必要な情報を集めて、実現可能なかたちに提案することです。」
関内検事「市の病院局に渡したのでは?」
T「違います。正当な政治活動としてやっていました。」
関内検事「議員から情報を取るのはどうやっていましたか?」
T「これはすべて答えなければいけないのでしょうか。」
鵜飼裁判長「差し支えがあるなら、拒否もできます。」
T「では、差し支えますので、答えません。」
関内検事「活動費をどう使いましたか?」
T「相手もあるので、答えません。」

関内検事「Nさんが「役人に渡した?」と確認しなかったか?」
T「Nさん本人のことなので、分からないが、Nさんがそう思い込んでいたのでは。」

関内検事「あなたは居酒屋の家賃240万円を滞納していましたね?」
T「滞納ではありません。大家ともめたので払わなかっただけです。」
関内検事「どうして家賃を支払わなかったのですか?」
T「この件は裁判と関係ないと思いますが。答える必要ありますか。」
関内検事「どうやって家賃を支払いましたか?」
T「居酒屋のお金で払いましたが。」
関内検事「その資金はどこから?」
郷原弁護士「異議。主尋問の範囲を超えています。関連性がありません。」
関内検事「NさんがTさんにお金のことを知られたくない事情と証人の信用性に関して、質問しています。」
鵜飼裁判長「信用性に関連する範囲では認めますけど、あまりに話が広がると、裁判所としても止めざるを得ません。」
関内検事「なぜ家賃を払いたくないと思ったのですか?」
T「ビルのオーナーになるかどうかで大家ともめてしばらく払いませんでした。退去期限が迫ってきたので、店の金でまとめて払いました。」
関内検事「名古屋市の件の活動費300万円で家賃を支払ったのでは?」
T「違います。店の金は店の金で管理していました。」

関内検事「Nさんはあなたの前ではお金の話を避けていたのでは?」
T「そんなことはないです。Nさんは、たびたびお金ないことを僕に素直に言っていました。「今日は3000円しか持ってない。」「じゃあ、1000円でいいです。」という会話もしていました。」

関内検事「あなたは警察の最初の取り調べで「Nさんは渡したと思う。」と話さなかったか?」
T「そんなことはありません。Nさんがそんな人間なら、渡したことがあるかも、という同意です。」

関内検事「弁護士と初めて話をしたのはいつですか?」
T「6月26日夜、検察の取り調べを受けた後です。」

関内検事「ニコニコ動画の番組に出演しましたか?」
T「はい。伊藤検事の了承をとって出ました。」

関内検事「7月14日の検察官の取り調べは覚えていますか?」
T「どんなことを言ったか覚えていません。」
関内検事「調書に「裁判になったら藤井につくしかない。」と書かれていることは覚えていませんか?」
T「記憶にないです。」
関内検事「調書に「席を外したことがある。」と書かれていますが、事実ですか?」
T「仮定の話で「仮にそうとすれば、席を外した時しかありません。」という言い方を何度もしたはずです。しつこく「絶対か?」と迫るので、取り調べを終えたくて署名しました。」
関内検事「調書には「席を外している時に渡したとNが証言していると聞いている。」と書かれているが、事実か?」
T「それは検事さんからそう聞かされたというだけでは。伊藤検事は紳士的に取り調べてくれたが、チェックが十分でなかったかもしれません。基本的に僕は仮定の話は区別して話しています。」

関内検事「7月4日の検察官の調書の内容は覚えていますか?」
T「覚えていません。」
関内検事「「1年前のことなのでそこまで覚えていない。」という内容だったのでは?」
T「そうだったかもしれません。」
関内検事「取り調べには、席を外した前提で話していたのではありませんでしたか?」
T「ありません。」

関内検事「4回も藤井さんと会って水源のことをお願いをしたのはなぜ?」
T「一生懸命、お願いしていません。木曽路で初めて会った時は、まだ僕らは美濃加茂市の水道事情とか具体的なことは分からないので、深い話はしていません。華川で会った時は、議会で興味を持ったという話でした。山家で会った時は、市長選が迫っていたので、話題にする時間がなかったはずです。あるとしても、「お願いします。」とあいさつ程度です。請託というような大した話ではありません。」

関内検事「郷原先生の陳述書は、自主的に話した内容ですか?誘導されたのでは?」
T「普通に話したと思います。「そんな大したお願いはしていない。」というのが若干表現が違っているかも。」

郷原弁護士「6月26日は私でなく他の弁護士さんと相談しましたか?」
T「僕が体調不良で倒れる前、Iさんの紹介で、弁護士さんと会いました。それから、6月27日に郷原弁護士と話をしました。取り調べで、僕の彼女も呼び出して事情聴取するぞと言われて、身の危険を感じて、弁護士さんに相談しようと思いました。」

郷原弁護士「ネット署名は弁護士の了解を得ていましたか?」
T「いえ、弁護士さんに相談せずに、署名しました。」

郷原弁護士「ビール2杯飲んだ後、トイレに行かなかった理由は?」
T「そんな程度で行きません。ビール2杯でトイレ行くはずというのは論理の飛躍だと思います。この前、ある記者と朝5時まで飲みに行きました。その時はビール10杯飲みましたが、1回もトイレに行かなかったです。記者仲間で「本当ですね。」と話題になっていました。この話は伊藤検事にも話したはずです。」

郷原弁護士「政策論議は大事なので、トイレは事前に済ませておくことにしていたのですか?」
T「とくにそういう訳ではなく、人と会う時はそうしていますね。僕は子どもの頃から、立ち小便したことはありません。モラルに反しますし、長年の習慣になっています。少年野球をやっていた時もそうでした。」

郷原弁護士「Nさんが「役人に渡してくれた?」と言ったという言葉は?」
T「Nさん本人のことなので分かりませんが、もしそんなことを言ったのなら、それはいけないことだと本人に言うと思います。」
郷原弁護士「あなたがNさんから直接頼まれたことは?」
T「ありませんでした。」

武藤裁判官「3人で会った回数は合計何回ですか?」
T「5度、いや、6度です。美濃加茂のらんぷという喫茶店で、ガストと山家の間の平成25年4月に1回。あとは、市長選後に山家で1回ありました。市長選後会ったのは、僕が「すみません。市長待たして。」と冗談を言ったので、覚えています。」

鵜飼裁判長「市長選後に会った時期は覚えていますか?」
T「何月頃かは覚えていません。」
鵜飼裁判長「着席した位置は覚えていますか?」
T「一番奥の角。左奥です。」
鵜飼裁判長「話の内容は覚えていますか?」
T「たしか、条例の公募化とか、副市長を置かない方法もあるという話をしたと思います。」
鵜飼裁判長「その時、Nさんもいましたか?」
T「いたと思います。というか、常連のNさんでないと僕が山家に行くことはないと思います。」

鵜飼裁判長「平成25年4月25日に山家で会うきっかけは何でしたか?誰が誰を誘いましたか?」
T「藤井君がいよいよ市長選に出るというので、選挙のことやマニフェストの案で話したいと、僕が誘われました。それから僕がNさんを誘い、山家で会うことにしました。」
鵜飼裁判長「Nさんを誘った理由は何でしたか?」
T「僕の飲食代を出してもらうためです。毎月の報酬がもらえなかったので、食事代くらい出して下さいよ、とNさんに来てもらいました。この時は、選挙前なので、浄水プラントの話はあまりしてませんし、時間もなかったと思います。」

鵜飼裁判長「らんぷという喫茶店で話した内容は覚えていますか?」
T「この時は、雨水はどこにでもあるから活用できる、と浄水器の話をしたと思います。」
鵜飼裁判長「その記憶はどの程度鮮明ですか?」
T「らんぷで3人で会話したという記憶ははっきり覚えています。」

証人尋問終了。

郷原弁護士「弁護人より。先に行われた証人Nの供述は信用できません。同席者の人数について、供述は不合理な変遷を遂げており、信用できないものと考えます。また中村署で同房だったOへの手紙の中にも、Nが「人数が合わない」と警察に詰問されたとの内容があります。このことからNの「検察官の誘導はなかった」との証言は信用性がありません。N証言を反証するために、今後、取り調べ検事の証人尋問も考えます。裁判所におかれましては、訴訟指揮権の発動に基づく証拠開示命令を求めたいと申し上げます。」
鵜飼裁判長「検察官の意見は?」
関内検事「おって書面で明らかにします。」
関内検事「検察官より。弁護人によるNからOへの私信を公開するのはいかがなものかと考えます。」

第4回公判終了。閉廷。

傍聴雑感
最高に面白い証人尋問でした。特に検察官が「ビールを2杯飲んだならあなたはトイレに行くはずだ」みたいな英語の問題集にたまに出てくる変な例文みたいな質問をした時が一番吹き出しそうになりました。本当はもっと長たらしく何回もトイレに行ったか質問していたのですが、正直、笑いをこらえるのに必死でメモに書き取ることができませんでした。そこはリアルタイムで傍聴した人だけの醍醐味ということでお察し下さい。後にも先にも、これだけトイレに行ったかどうかを問題にする証人尋問はないと思います。

山家の店長さんはやや恐縮した感じで受け答えしていました。同席者のTさんは、他の証人の前評判からは一体何者なんだという得体の知れなさ感を抱いていましたが、能弁で面白い人でした。これだけ意志の強い証人を崩すのはほぼ不可能だと思います。検察官からは弁護側が呼んだ証人に対する敵意のようなものすら感じました。

弁護団6名の配置は以前と同じでした。検察官の席は裁判官に一番近い右前に伊藤検事、左前に関内検事という配置でした。

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